国立極地研究所40周年記念市民講演会
プログラム
  • 極地から地球を、宇宙を見る 国立極地研究所長 白石和行

1956年から始まった南極観測を契機に、日本学術会議の建議によって1973年に国立極地研究所が創設されてから40年。この間の地球環境変動への関心の高まりと共に、極域を舞台とした科学は大きく飛躍しました。現在では、北極域での観測・研究も重要な位置を占め、さらに、極地における宇宙観測のプラットフォームとしての重要性も確立してきました。国立極地研究所は南極、北極の両極の視点に立ち、地球環境の過去、現在の姿から未来を見据え、人類社会に貢献していきます。

  • 最新テクノロジーが明らかにするペンギンの生態 生物圏研究グループ助教 渡辺佑基

ペンギンはかわいい姿から動物園や水族館の人気者ですが、自然環境下における生態はよくわかっていません。とりわけ、水中でどうやってエサを とっているかは、直接見ることができませんので、長いあいだ謎に包まれていました。最近、私たちの研究グループは超小型のビデオカメラを開発し、それをペンギンの背中に取り付けることによって、ペンギンの視点から水中でのエサ取りを観察することに成功しました。本講演ではユニークな「ペンギンビデオ」の映像をたくさんお見せして、知られざるペンギンの秘密に迫りたいと思います。

  • 3,000mのタイムカプセル 〜極地の氷が語る地球環境の過去と未来〜 気水圏研究グループ准教授 川村賢二

南極大陸やグリーンランドは、莫大な量の氷で覆われています。この分厚い氷は、少しずつ降り積もる雪が自分の重みで押し固まってできたものなので、その氷をドリルで掘削して得られる氷の柱(アイスコア)は、昔の気候変動や大気組成を保存した「タイムカプセル」です。日本が基地を構える「ドームふじ」は、南極にいくつかある高まり(ドーム)のひとつ、標高3,810mの地点にあります。ここでの氷の掘削によって、長さ3,035mのアイスコアが得られました。北極のグリーンランドでは、国際チームによって2,538mのアイスコアが掘削されました。両者とも岩盤付近まで到達する快挙です。それらの研究から、過去数十万年間の地球の気候や大気組成の様子が明らかになってきました。氷床コア研究の最前線を紹介します。 

  • 温暖化で南極の氷は融けるのか?
    極限フィールドワークから探る東南極氷床の安定性
     地圏研究グループ助教 菅沼悠介

近年、二酸化炭素濃度の上昇に伴う地球温暖化によって南極氷床が急激に融けること、そしてこの融解水による海水準の上昇が心配されています。しかし、全南極氷床の約7割を占める東南極氷床の安定性については不明な点が多く、将来予測における不確定要素となっています。一方地球の歴史を調べると、大気中の二酸化炭素濃度が現在の値に近かった時代があることが明らかになってきました。つまり、過去の南極氷床を調べることで、温暖が進行した状態の南極氷床の姿を推定し、地球環境変動の将来予測に役立てることができます。本講演では、このテーマに取り組むため、我々が行っている南極での野外調査の様子を映像など交えながらご紹介します。

  • 南極の空:美しさと不思議さと 第54次越冬隊員・宙空圏研究グループ助教 冨川喜弘(南極昭和基地よりライブ中継)

南極の空は、私たちに多くの表情を見せてくれます。昼はハロー(太陽を囲む光の輪)、彩雲などの光学現象が空を彩り、うす暗くなってくると極成層圏雲、極中間圏雲といった特殊な雲が見えることがあります。夜にはオーロラや天の川が私たちの目を楽しませてくれます。そして、南極の空が地球環境の変化を映し出している場合もあります。本講演では、南極の空が見せる美しさ、不思議さを紹介し、さらに南極観測で得られた成果などをもとに、地球環境との関わりについても議論したいと思います。

応募締切日

平成25年9月16日(月)

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情報・システム研究機構 国立極地研究所 企画グループ総務担当
〒190-8518 東京都立川市緑町10-3 / TEL:042-512-0608

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