第61次南極地域観測隊越冬隊員の早期帰国について

2020年5月25日

概要

南極・昭和基地で活動中の越冬隊員(1名)が、疾病のため、同行の医療隊員(医師)とともに、5月22日(金)に日本に帰国しました。

経緯

当該隊員は、令和2年3月26日に昭和基地において実施した定期健康診断時に不調が判明し、その後の検査等により現地では治療が困難な疾病に罹患している可能性が高いと判断されました。そのため、3月31日に国内の専門医に今後の方針について遠隔医療相談を実施したところ、一刻を争う病状ではないものの、今後約1年の越冬(基地滞在)に耐えるのは困難であると判断され、早期帰国をさせる必要があるとの結論に至りました。

幸いその時点で、昭和基地の東方約300kmにあるマラジョージナヤ基地(ロシア)沖に、砕氷船アカデミック・フェドロフ(AF)号に乗船中のロシア南極観測隊(RAE)がおり、4月5日に国立極地研究所からRAEを運営するロシア北極南極研究所(AARI)に対して支援を依頼しました。AF号は、マラジョージナヤ基地での活動終了後に昭和基地の北約70km付近まで移動し、数日間の荒天待機ののち、4月9日午前に搭載するヘリコプターにより昭和基地から当該隊員1名と付き添いとして医療隊員1名の計2名を収容しました。

AF号はその後4月14日から25日までの間、昭和基地の西約1,000kmのノボラザレフスカヤ基地沖で観測を実施した後北上し、5月5日に南アフリカ共和国のケープタウンに入港。日本の観測隊員2名は無事下船しました。

当該隊員らは、南アフリカ政府の指示の下、検疫期間(2週間)、指定のホテルに宿泊し、現地病院での診察を受けるなどして過ごした後、民間航空機にて5月22日17時42分に成田空港に到着しました。

その他

第61次南極地域観測隊越冬隊は隊員(同行者1名含む)が30名から28名になったものの、昭和基地での越冬観測を当初の計画通り令和3年1月末まで続ける予定です。

問い合わせ先

国立極地研究所
広報室 Mail:kofositu@nipr.ac.jp
南極観測センター 企画業務担当副マネージャー 熊谷 TEL:042-512-0740