カナダ砕氷船アムンゼン観測チーム

いよいよ乗船、観測開始。(2014.9.10 溝端)

現在地:アラスカ・バロー
チームメンバー:菊地隆(海洋研究開発機構)、溝端浩平(東京海洋大)、松野孝平(国立極地研/北大院水産)、岩原由佳、伊藤慶造(北大院水産)、小野寺(JAMSTEC)、宇野(MWJ)

これから飛行機に乗り込んでアムンゼン号へ(写真:松野孝平)

9月9日 カナダ砕氷船アムンゼン乗船

到着した7日のバローは、結氷期近くの北極海の沿岸であることを忘れさせてくれたのですが、9日は朝から雪が降るほど寒い中でバロー空港からヘリでアムンゼン号に乗り込むことになりました。上空から見るアムンゼン号が近づく中で、これから始まる航海と観測を考えていると、たった3分間のフライトでも長く感じるものです。

乗船後は持ち込んだ観測機材の展開を行い、夕食の後に本航海最初のミーティングが行われました。観測航海ではほぼ毎回と言っていいほど紛糾する初回のミーティングですが、本航海も例外ではありません。参加者の多数の要望に首席研究者のLouis博士が頭を抱える、という光景が幾度となく繰り返されました。海氷下での海洋循環をターゲットにしている自分も要望を出した一人で、アムンゼン号が避けたいカナダ海盆の海氷域通過とXCTD(使い捨て式水温塩分計)観測について交渉し、条件付きで了承して頂きました。

なにはともあれ、Louis博士が冗談を交えつつ話をまとめて、ミーティングは無事に終わりました。翌日早朝から観測開始です。

9月10日 観測開始

早朝6時ごろに抜錨し、朝食前に観測が始まりました。今日はバロー沖のDBO測線における観測でした。生物生産力が高く、クジラが多く観測されることが予想される当該海域では、GRENE北極研究事業のメンバーを含め、多くの乗船者の興味が集中しているため、観測項目が多岐※1にわたります。

CTD(水温塩分計)観測の結果は、すでに大気による海洋の冷却が始まったことを示しており、結氷期がそこまで近づいていることを感じさせましたが、幸い本日は穏やかな海に恵まれました。並行して、航空機の遅延で乗船できていなかった3名の研究者がヘリでピックアップされ、さらに賑やかになったアムンゼン号は、明日バロー海底谷に向かいます。

※1水温・塩分の計測、プランクトン等を対象としたネットサンプリング、海底の泥の採取など