砕氷船アラオン号航海チーム

海氷との対話(2014.8.5)

on Northwind Ridge Aug 5 1:30AM Alaska Time
チームリーダー:島田浩二(東京海洋大学)

アラオンの航跡(予定を含む)とAMSR2の36GHz輝度温度分布(JAXAより)。暖色系のところが氷が厚く厳しいところ。寒色系のところが、海氷はまばらで簡単に航行できるところ。

海氷バンドに入る前、Point Hope(希望岬)の街並み。かつて、30歳の誕生日を迎えたところ。

積み重なった海氷バンドの中を航行中。氷は黒い。

韓国砕氷船アラオンは、北米大陸の北極海アラスカ海岸線の西方に伸びる厚い海氷バンドに差し掛かっている。この厚い氷は、凍って厚くなったわけでない。沿岸にぶつかり、行きどころがなく積み重なることで厚くなった氷である。その証拠に、海氷は、沿岸や浅い海域の海底に接触した痕跡を、その黒い色に残している。実は、この海氷バンドが、本航海の最も厳しい海氷であると考えている。

北極航路は、このように沿岸付近に局在する海氷状況の正確な予測が必要である。

沿岸付近の海氷予測の鍵を握るのは、海氷の動き、特に海氷速度の収束である。

正確な海氷速度を知り、衛星観測を活かすためには、現場での海氷速度の観測が不可欠である。衛星観測だけでは、バーチャルリアリティであり、リアリティを持たせるためには、衛星データから求められる高次データの精度が評価されていなければならない。

昨年、北極海に残して、1年間観測を続けた係留系(定点観測機器)を回収しに行く。

その前に、1週間、氷上キャンプを行い、宇宙からではなく、人間の目で見た北極と宇宙からみた北極との対話を図る予定である。観測とは、一度しかない、実験である。