第2回特別セミナー「北極海航路の持続的利用実現に向けて」を開催しました

平成27年11月6日(金)、東京海洋大学品川キャンパス楽水会館においてGRENE北極気候変動研究事業の研究課題『北極海航路の利用可能性評価につながる海氷分布の将来予測』(研究代表者:島田浩二/東京海洋大学・准教授)を構成する研究サブ課題「北極航路利用のための海氷予測および航行支援システムの構築」(研究サブ代表者:山口一/東京大学・教授)のグループは、昨年に続いて北極海航路研究の最新研究成果を報告するセミナーを開催しました。

セミナーには、海運、造船、通信、総合商社や建設といった北極海航路ビジネスの可能性を注視する民間企業、中央官庁や地方自治体、北極海沿岸国の在日大使館やマスコミ各社や学生にいたる幅広い分野から131名の参加がありました。

山内恭GRENE北極気候変動研究事業プロジェクトマネージャの挨拶に始まり、第1部では研究の取り組みや今後の展望、海氷予測について発表がありました。引き続き第2部で氷中航行性能と安全の研究がどのような段階まで来ているのか、第3部で航行支援の最適航路探索手法は実際にどこまで行われているのかが発表され、北日本港湾コンサルタントの大塚夏彦氏からは経済性分析や輸送シナリオについて紹介がありました。

セミナーの最後には、2015年秋に始まった「北極域研究推進プロジェクト」で行われる北極海航路に関係する研究として、本研究所・猪上淳准教授の「海洋予測における気象観測網の役割」と東京大の早稲田卓爾氏による「北極海の波浪予測」の発表がありました。

また、発表内容に合わせる形で、北極域データアーカイブシステム(ADS)により、最適航路探索システムなどのデータ可視化に関するデモンストレーションが行われました。

総合質疑では、着氷対策、中期予測に対して気象条件の反映はどの程度期待できるのかという航行計画に係るような質問、また韓国など近隣の国々の動きを伺う質問など北極海航路利用を現実的に見据えた質疑となりました。

北極海航路の利用研究は世界経済や国際社会情勢とも深いかかわりがあることから、昨年のセミナー開催後の情勢変化についての説明など興味深いものがあり、研究成果を産業界をはじめとする社会へ積極的に情報発信をしていく重要性と必要性、将来の利活用を見据えた研究の在り方が期待されていることを認識し、閉幕しました。

プログラム

開会の挨拶をする山内PM

山口氏の発表