海洋生態系シンポジウム「ここまで分かった海洋生態系の変化 海氷が減ると、生態系は、水産資源は、どうなるの?」を開催しました

パネルディスカッション(左から和田氏、菊地氏、牧野氏、原田氏)

平成27年11月9日(月)東京・品川のコクヨホールにて、GRENE北極気候変動研究事業の研究課題『北極海環境変動研究:海氷減少と海洋生態系の変化』(研究代表者:菊地隆氏・海洋研究開発機構)のグループが、海氷減少による生態系や水産資源への影響について最新研究成果を報告する海洋生態系シンポジウムを開催しました。

研究者や学生の他、水産、漁業、貿易といった水産資源でビジネス展開している民間企業、海難防止や自然環境団体などから108名の参加がありました。

池田元美北海道大学名誉教授の挨拶に始まり、第1部では研究グループ全体の取り組みや北極海の淡水化、酸性化などによる環境変化について発表があり、第2部でベーリング海やチャクチ海で行ってきた調査をもとにした動物プランクトンや底性生物、海鳥・クジラなどにみられる生態系の変化、スーパーコンピューターを使ったシミュレーションによる予測について若手研究者を中心に発表がありました。

シンポジウムを締めくくるパネルディスカッションでは、座長の和田智明氏(神戸市立青少年科学館長)、パネリストの菊地氏、原田尚美氏(海洋研究開発機構)、牧野光琢氏(中央水産研究所)により、各国でも北極研究が盛んになっているなか、これからの研究者は社会へ分かりやすく研究成果を発信していくことの重要性や、行政に対する要求なども声を上げる必要があることなどが語られました。

会場の一画では、口頭での研究成果報告と連動する形で14件のポスター発表や実際に北極海で使った観測機器の展示、北極域データアーカイブシステム(ADS)によるデータの可視化利用に関するデモンストレーションなどが行われ、休憩時には多くの参加者が興味を示していました。

若手の発表者が多かったことが本シンポジウムの特徴となり、自由な雰囲気が好評を得たようでした。参加者には、北極海の海氷減少による環境変化が海洋生態系に与える影響や研究の取り組みについて具体的に紹介できる機会となりました。

また当日参加者から寄せられた「質問カード」及び「アンケート」には、今後の北極海海洋生態系研究を進めていくうえで参考になる意見もたくさんありました。これらについて、可能な限り多くの質問に対して回答を取りまとめ、近日中に本ホームページにて公開したいと考えています。

佐々木裕子の底性生物の漁獲量の変化に関する発表

ポスター発表