南極観測用ウェアが意匠登録

掲載日:2008年9月22日

 国立極地研究所と大阪樟蔭女子大学・伊豆原月絵准教授が共同研究で開発した南極観測用の開発ウェアが「意匠」として登録されました。

 本研究は、人間工学に基づいた衣料設計により、寒冷環境下(気温は-45℃にも下がり、夏季でも10℃が最高気温)の活動において実用性があり、軽量でデザイン性に優れたウェアの開発を目指したものです。

 この開発ウェアは、最先端の機能性繊維を用い、軽量で、保温性・防水性・透湿性に優れた繊維材料を選択しています。特にデザインについては、「しゃがむ」「座る」動作が多い観測隊のため、広い身ごろ(胴体部分)をとりながらも、縦長の体型に見えるような、視覚効果を考慮した衣服設計になっています。

 南極でも試験的に着用しており、作業量の多い、夏の野外観測用に主に使用されています。

 現在も、保温性・透湿性・防水性などの衣服内気候の実測等、衣服の定量的な評価を行い、ウェアや南極装備の完成度を高める研究が続いています。

ウェア解説:デザイナーの大阪樟蔭女子大学・伊豆原月絵准教授

デザインコンセプトは、「機能性に優れ、細く長くかっこよくみせる」

左 既存の形体  右 開発ウェア形体

円筒形にすることで細く見える

・中綿が入って、ゆったりと作られているものの、円筒形に設計しているため、細くスマートに見えます。
・襟部分は、切り替え位置が工夫され、ファスナーを開くと大きな襟が顔を小さく見せてくれます。
・座る、しゃがむ、手を伸ばすなど様々な動きに対応できるよう人間の骨格や筋肉の動きを考慮し、衣服設計をおこなっています。
・運動して汗をかいても蒸れず、着装者の体温を一定に保つように、設計されています。
・開発ウェアは、極地研の研究者とスタッフが,極地での作業性を高めるため、「動き易さ」を考慮しています。
・実用的なジャケット丈、ポケット位置、ポケットの大きさ、袖、フードなど細部にわたって考慮してあります。防寒に優れ、動きやすく、実用性の高い、「開発ウェア」の研究成果が、南極の観測に、また、社会生活に役立つことを願っています。