第6回中高生南極北極科学コンテスト
-中学生・高校生の提案」を南極・北極へ-
「南極科学賞」他の受賞を決定

掲載日:2009年10月9日

 国立極地研究所(立川市緑町:所長藤井理行)は、第6回中高生南極北極科学コンテストへの応募提案の審査を行い、「南極科学賞」、「北極・南極科学賞」等を決定しました。
 「南極科学賞」は、平成21年11月に日本を出発する第51次南極観測隊が南極で、また、「北極・南極科学賞」は、北極での観測グループと第51次南極観測隊が提案にある実験等を実施します。
 受賞した提案の受賞式と口頭発表会を、平成21年11月15日(日)に「南極北極ジュニアフォーラム2009」として、国立極地研究所にて開催します。

 第6回中高生南極北極科学コンテストは、平成21年6月15日〜9月10日の間、提案を公募し、128件(32校(中学校18校、高等学校14校))の応募がありました。

受賞した提案(「南極科学賞」、「北極・南極科学賞」、「特別賞」)

 

【南極科学賞】1件

表題:「観測隊員の見る夢は?」
提案者:松岡 里咲
所属:大阪教育大学附属池田中学校

提案の概要と選定理由

 南極昭和基地という特殊な自然、社会環境下で、長期にわたって生活する越冬隊員の見た夢の記憶を所定のアンケートを用いて調査し、隊員の一人間としての心の動きを統計的に知ろうとするものである。論旨は明快であり、提案の目指すところを通して越冬生活を映し出すことは、ヒトの心の動きを知る手がかりとなる可能性がある。これまでに行われた観測隊医療部門の睡眠脳波の研究結果とか、将来行われる医学関連観測の成果の理解に貢献する資料となるかもしれない。

【北極・南極科学賞】1件

表題:「南極では日時計の影はどのような軌跡を描くか」
提案者:PROJECT "SWUN" 南極グループ(代表:岩佐 映美 他9名)
所属:大多喜町立大多喜中学校

提案の概要と選定理由

 世界各地での太陽の作る影の動きを記録、検討するもので、簡易な紙製の日時計を作成し、季節を変え日影の変化を経時に記録するものである。北極での観測は、昭和基地より緯度が高い地点のものとなるので、一層興味深いものになる。すでに理論的計算による日影の軌跡や、海外の3都市での軌跡も得られており、極地域での軌跡記録の準備ができている。
(当初、コンテストでは「北極科学賞」を想定していたが、受賞に該当するものがなかったため、審査員の協議により、「北極・南極科学賞」を新設して採択することとなった。)

「南極科学賞」は、平成21年11月に日本を出発する第51次南極観測隊が南極で、また、「北極・南極科学賞」は、北極での観測グループと第51次南極観測隊がそれぞれ北極と南極で提案にある実験等を実施します。

【特別賞】9件(表題、提案者、所属の順)

・「ブリザード発電法6」栗山 透(ヴィアトール学園洛星高等学校)
・「極地で「さび」はどう進むのか」境野 元稀(本庄市立本庄西中学校)
・「極地で行う花火大会」福島 広大(東京都立国立高等学校)
・「極地で、スキーやスケートはどう滑るか、カーリングはできるか、自転車はうまく走れるか-摩擦力に注目して-」前橋四中科学部(代表:塚田 ゆりこ 他17名)(前橋市立第四中学校)
・「南極海や北極海での珪藻を用いた水質や古環境に関する研究、調査」奈良県立奈良高等学校地学部(代表:森岡 康人 他6名)(奈良県立奈良高等学校)
・「南極で水彩画のスケッチはできるのか?」藤若 燈(名古屋市立鳴子台中学校)
・「南極海の海水と極低温を利用した製塩法-南極海と北極海の塩比べ-」石田 瞳(大阪教育大学附属池田中学校)
・「大気の違いと音の伝達」洛北二人(代表:吉田 大亮 他一名)(京都府立洛北高等学校)
・「風による温度変化についてⅡ」栗山 透(ヴィアトール学園洛星高等学校)

【参考】

「第6回中高生南極北極コンテスト」の概要

(1)「国際極年2007-2008」に際し、同事業の計画委員長であるクリス・ケプラー氏に日本の若年層の声を直接届けようという発案をもとに、コンテストの実施と表彰式・発表会を企画したのが2004年であり、「第1回中高生南極北極オープンフォーラム」として、開催した。

(2)その後、コンテストにより選ばれた提案テーマを表彰、発表する機会を設けるとともに南極観測隊が現地で実施するという企画を「中高生南極北極オープンフォーラム」として、2008年までに5回にわたり開催している。

(3)「国際極年2007-2008」の終了を機に、それまでの経過、実績等についてレビューし、以下のとおり、継続して実施することとした。

①「中高生南極北極オープンフォーラム」は、中学生及び高校生から広くアイデアを公募し、審査の上、優秀と判断されたテーマを南極観測隊に託し、昭和基地で実際に行った結果を提案校にフィードバックするという、研究最前線(国立極地研究所)、南極・北極の現場(観測隊)、そして生徒と教員(教育現場)が連携した、おそらく他の研究機関ではほとんど例を見ないユニークなものであるといえる。講演会、オープンキャンパスなどといった類型的なイベントの域を超え、青少年に極地への夢を抱かせ、さらに極域科学への興味と関心を植えつける意味で、社会的インパクトもそれなりに大きいものであったと思われ、今後も発展的な形で存続してゆく。

②事業の名称については、これまで「オープンフォーラム」と称してきたが、フォーラム(Forum)とは本来「討論」の意であり、オープンフォーラムは「公開討論会」となる。本事業の目的は、中高生による討論会を開催することではなく、提案のコンテストであることから、名称は「中高生南極北極科学コンテスト」として実施する。