第51次南極地域観測隊に、独立行政法人産業技術総合研究所の協力により衛星画像が提供されました掲載日:2010年2月6日 南極観測船「しらせ」が昭和基地に接近していた2010年1月、「しらせ」の主な夏期行動である昭和基地への物資輸送および基地周辺の観測を実施する上で航路計画や安全行動などの参考となる衛星画像が、第51次南極地域観測隊に提供された。 この画像は陸域観測技術衛星ALOS「だいち」に搭載されたPALSAR(フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダー)によるもので、高い空間分解能を有している。画像の作成・入手に際しては、(財)資源・環境観測解析センターの支援の下、独立行政法人産業技術総合研究所 情報技術研究部門 地球観測グリッド研究グループが開発しているGEO Gridシステムの協力を得た。 最近の「だいち」の受信データとして、2009年11月6日および同年12月22日の画像がGEO Gridシステムで処理され、極地研経由で観測隊に送信した(2010年1月11日)。 さらに、直近の受信であった2010年2月6日についても迅速に処理作業が行なわれ、同10日に画像が観測隊に提供された。観測隊にとっては、「しらせ」が基地を離れて復路航海の開始を迎える時期であり、産総研から提供された画像は計画された復路の海氷状況の把握に役立てられ、安全な航路決定に資することが期待される。 用語の説明◆ALOS (Advanced Land Observing Satellite) ◆PALSAR (Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar) ◆GEO Grid 第51次隊に提供された衛星画像例空間分解能25mで処理したもので、画像上の濃淡はマイクロ波散乱強度の違いを表わす(白は散乱が強く、黒は弱い)。両画像を比較すると、沖合の流氷域(画像上端中央部)が12月から2月にかけて少なくなっていることが良く分かる。 氷山や変形した氷でなければ、散乱強度は氷の厚さと関係していることが報告されており、画像上の海氷域において明るい場所ほど氷が厚い。ただし、南極は現在夏季であるため、積雪の融解と再凍結による影響も考慮が必要であり、海氷状況の画像判読には注意を要する。 2009年12月22日受信 2010年2月6日受信 |