極域科学・宙空圏・気水圏・生物・地学シンポジウムを開催しました

掲載日:2010年12月15日

 国立極地研究所では、毎年研究グループごとにシンポジウムを開催しておりましたが、既存の学問領域だけではなく複合、あるいは学際的研究が重要となってきていることから、今年度は研究分野横断型のシンポジウムとして第1回極域科学シンポジウムを開催いたしました。また同時に、従来型の極域宙空圏・極域気水圏・極域生物・極域地学シンポジウムも開催しました。

以下は各シンポジウムの様子です。

極域気水圏シンポジウム(口頭発表)

極域生物シンポジウム(ポスター発表)

第34回極域宙空圏シンポジウム

 南北両極域で蓄積されてきた観測データの解析結果はもとより、極域の中層大気から熱圏、電離圏、磁気圏を主な対象とする研究成果、研究展望に関する多くの発表がなされた。参加者は62名、発表件数は46件(口頭32、ポスター14)であった。特に、南極昭和基地に新規設置されるレイリーライダー、南極域に展開される無人磁力計ネットワーク、北極域にレーダーを展開するEISCAT-3D計画などの新たな装置群は、変動する地球気候の中で極域の果たす役割を明らかにする手がかりを与えると期待されており、それらに関する本シンポジウムでの発表も大きな注目を集めた。

第33回極域気水圏シンポジウム

 11月30日〜12月1日に総合研究棟2階大会議室で開催した。参加者は73名で、56件(口頭:28、ポスター:28)の講演が行なわれた。口頭セッションは、大気、雪氷、海洋、インフラサウンド関連で構成し、ポスターセッションでは約1時間のコアタイムを設けた。南北両極域の他、アジア高地、日本国内とその周辺域も対象として多岐にわたる成果が発表された。

第30回極域地学シンポジウム

 12月2〜3日に国語研究所2階講堂で実施し、81名に参加いただいた。「極域から探る固体地球ダイナミクス」をテーマとして、第四紀・地形、地質・岩石、極域海洋底、測地・固体地球物理に関連する56件 (口頭:30、ポスター:26)の講演が行われた。氷床や海洋変動と固体地球の相互作用など地球をシステムとして捉えた研究、さらに第49〜51次隊で実施されたセール・ロンダーネ山地調査や新しらせによる船上観測の研究の成果などが発表され、幅広い議論がなされた。

第32回極域生物シンポジウム

 11月30日〜12月1日に国語研究所2階大講堂にて開催した。口頭17件、ポスター55件の発表が行われた。口頭セッションではオーストラリア南極局から3名のゲストを招いて、日本・オーストラリア共同研究である、南極海インド洋区における中長期的な生態系変動解析に関する報告がなされた。1990年代後半に海氷域、外洋域ともに生物量の変化が捉えられ、その変動要因として海氷動態や海洋環境条件の変化の可能性が議論された。