生物圏研究グループ 渡辺佑基助教の論文がNatureのNews&Viewsに紹介されました

掲載日:2011年3月1日

生物圏研究グループ助教 渡辺佑基の論文がNatureのNews&Viewsに紹介されました。論文の概要は以下の通りです。

「動物の泳ぐ速さを決めるサイズ効果を発見」
Watanabe, Y. Y. et al. J. Anim. Ecol. 80, 57–68 (2011).

国立極地研究所 渡辺佑基

海の動物はどのくらいの速さで泳ぐのか、そして、それはどのような要因で決まるのか。陸の動物と違って観察することができないため、海の動物は研究が難しく、行動に伏流するプリンシプルをあぶりだすことが今までできていなかった。

今回、国立極地研究所で開発された動物装着型データロガーを使って、500グラムの小さな海鳥から100トンの巨大シロナガスクジラまで、計37種の海鳥、海生哺乳類、ウミガメの泳ぐ速さを計測した。それと並行してバイオメカニ クスのモデルを作り、泳ぐ速さが体重によってどう変わるかを理論的に予測した。

大きな潜水動物ほど速く泳ぐ傾向があり、さらに、その増加率は、それぞれの動物がエネルギー効率を最大化したと仮定したときの予測値と一致した。

大きな動物ほど高い効率を保ったまま速く泳げるということであり、今までに知 られていなかったサイズの利点である。大きなクジラは速く泳げるので、一回の潜水の間に息をこらえたままより遠く、より深くまで餌を探し求めることができる。

いっぽう同じ海洋動物でも、魚は水中で呼吸ができるので潜水時間が限られることはなく、速く泳げることのメリットは少ない。魚に比べてクジラのような潜水動物が巨大化した一つの理由に、泳ぐ速さの影響があるかもしれない。