昭和基地で東北地方太平洋沖地震を観測

掲載日:2011年4月4日

第52次南極地域観測隊越冬隊(越冬隊長:宮本仁美)は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を、昭和基地に設置した超伝導重力計で観測しました。

 日本時間2011年3月11日14時46分(5時46分UTC)に発生した東北地方太平洋沖地震(震源位置:北緯38度6.2分、東経142度51.6分、深さ32km、マグニチュードMw:9.0)による地震波形が、約20分後の現地時間3月11日9時6分(6時6分UTC)に昭和基地に設置されている超伝導重力計でも明瞭に観測された(図1)。

 超伝導重力計は、重力センサーを安定な超伝導磁場の中で磁気浮上させ、極めて微小な重力変化を検出することができる装置である。地震に伴う震動も重力変化の形で検出することができ、これまで2004年12月26日のスマトラ島沖地震(マグニチュードMw:9.1)、2010年2月27日のチリ地震(マグニチュードMw:8.8)などの地震も捉えている。2004年のスマトラ島沖地震および昨年のチリ地震の観測記録を図2に示す。昭和基地で観測された記録からも、今回の東北地方太平洋沖地震は2004年のスマトラ島沖地震と同程度の規模であることがわかる。

 昭和基地では広帯域地震計(STS)、GPS、潮位計よる連続観測も実施されており、それらのデータは、超伝導重力計のデータとともに、今後詳しい解析に使用される予定である。

図1 南極・昭和基地の超伝導重力計で観測された東北地方太平洋沖地震の記録

図2 昭和基地・超伝導重力計で観測された2004年スマトラ島沖地震(上段)と2010年チリ地震(下段)の記録

図3 2011年東北日本太平洋沖地震、2004年スマトラ島沖地震、2010年チリ地震の震央と昭和基地(☆)との位置関係。各地震のマグニチュード(Mw)の下の数値は各震央と昭和基地との距離(km)を示している。