北極気候変動研究事業の研究課題採択について

掲載日:2011年11月22日

情報・システム研究機構国立極地研究所(所長:白石和行)は、「グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス」(GRENE)事業北極気候変動分野「急変する北極気候システム及びその全球的な影響の総合的解明」(北極気候変動研究事業)を実施するため、研究課題の公募を行い、このたび9つの研究課題を採択しました。

事業目的

北極気候変動研究事業は、急変する北極気候システムの変動状況を総合的に把握し、その結果を気候変動予測モデルに反映させ、予測モデルの高度化・精緻化を図るとともに、北極気候システムの変化が我が国や全球にもたらす影響を評価することを目的としています。具体的には、「北極研究戦略小委員会」(文部科学省に設置)が定めた下記の4つの戦略研究目標を達成することが求められています。

① 北極域における温暖化増幅メカニズムの解明
② 全球の気候変動及び将来予測における北極域の役割の解明
③ 北極域における環境変動が日本周辺の気象や水産資源等に及ぼす影響の評価
④ 北極海航路の利用可能性評価につながる海氷分布の将来予測 

採択共同研究課題

上記4つの戦略研究目標を達成するため、申請件数23件から、以下の9つの研究課題を採択しました。

研究課題名

研究代表者

所属機関

地球温暖化における北極圏の積雪・氷河・氷床の役割

榎本浩之

国立極地研究所

北極海環境変動研究:海氷減少と海洋生態系の変化

菊地 隆

海洋研究開発機構

環北極陸域システムの変動と気候への影響

杉本敦子

北海道大学

北極域における温室効果気体の循環とその気候応答の解明

青木周司

東北大学

北極温暖化のメカニズムと全球気候への影響:大気プロセスの包括的研究

浮田甚郎

新潟大学

北極海氷海洋システムの基本構造と変動に関する観測モデリング融合研究

羽角博康

東京大学

北極海航路利用のための海氷予測および航行支援システムの構築

山口 一

東京大学

北極海における海洋変動と急激な海氷減少メカニズムの解明

島田浩二

東京海洋大学

北極気候再現性検証および北極気候変動・変化のメカニズム解析に基づく全球気候モデルの高度化・精緻化

野沢 徹

国立環境研究所

戦略研究目標と研究課題の対応

上記研究課題の研究代表者のうちから各戦略研究目標の代表者を決め、その戦略研究目標代表者が各研究課題間の連携を図りながら、各戦略研究目標を達成していきます。

戦略研究目標

代表者

北極域における温暖化増幅メカニズムの解明

野沢 徹

全球の気候変動及び将来予測における北極域の役割の解明

杉本敦子

③a

北極域における環境変動が日本周辺の気象及ぼす影響の評価

浮田甚郎

③b

北極域における環境変動が水産資源等に及ぼす影響の評価

菊地 隆

北極海航路の利用可能性評価につながる海氷分布の将来予測

島田浩二

※戦略研究目標B「北極域における環境変動が日本周辺の気象や水産資源等に及ぼす影響の評価」は二つに分けてある。

実施体制

北極気候変動研究事業は、文部科学省の大学発グリーンイノベーション創出事業の一環として実施するもので、国立極地研究所が代表機関、海洋研究開発機構が参画機関として運営を行います。

事業実施年度(予定)

平成23年度〜平成27年度

参加研究者の所属機関

国立極地研究所、海洋研究開発機構、北海道大学、東北大学、新潟大学、東京大学、東京海洋大学、国立環境研究所 等、国内の大学・研究機関等 34機関