地圏研究グループ 菅沼悠介助教が日本堆積学会2012年札幌大会において「最優秀口頭講演賞」を受賞しました

掲載日:2012年6月21日

日本堆積学会2012年札幌大会(http://sediment.jp/04nennkai/2012/12program.pdf

1. 最優秀口頭講演賞

日本堆積学会が主催する例会において最も優れた口頭講演をおこなった発表者で、35才以下が対象。

2. 講演内容の概要

古地磁気記録(堆積残留磁化)は海底堆積物の重要な年代指標として広く利用されてきたが、海底堆積物中で堆積残留磁化が獲得される深さ(Lock-in depth)や、その獲得機構には不明な点が多かった。そこで本研究では、太平洋から採取された複数の海底堆積物試料を対象として、古地磁気記録と、同様に地磁気強度変動を示す指標である宇宙線生成核種生成率(10Beフラックス)を比較し、両者の差から海底堆積物には約15cmのLock-in depthが存在することを明らかにした。

その結果として、最新の地磁気逆転境界(B-M境界)の年代値が約77万年前に修正される可能性が高いことを示した。

また、数値モデルから海底堆積物の残留磁化の獲得は、従来予想されていたExponential型ではなく、生物擾乱層よりも十数センチ下位を中心とするGaussian型の関数で表される可能性が高いことが分かった。このことは、海底堆積物の残留磁化が海底面下での初期圧密の物理過程ではなく、化学的もしくは生物化学的作用で獲得されていることを示唆する。

3. 受賞理由

学会運営委員・行事委員に加えて学会員からの有志を加えた審査委員会での投票に基づき決定した。