南極地域観測第Ⅷ期6か年計画後半の
一般研究観測・萌芽研究観測課題 公募の取りやめについて


                       国立極地研究所
                        南極観測センター長
                             本吉 洋一

南極地域観測事業については日頃よりご協力いただき厚く御礼申し上げます。
さて、南極観測第Ⅷ期計画における一般研究観測・萌芽研究観測課題に関しましては、第Ⅷ期後半を対象とした観測計画の公募をすでに平成23年に実施し、その後も毎年公募を行う予定でしたが、以下の諸事情により後半3か年の公募を取り止める事にいたしましたので、お知らせします。

1.昭和基地発電用燃料の不足
第53次隊(2011/2012)および第54次隊(2012/2013)において、昭和基地への「しらせ」の接岸断念により、燃料及び観測物資の一部を昭和基地に輸送することが出来なくなった。このため今後の輸送状況次第で、第Ⅷ期後半(第55次ー第57次)においては計画を予定通り達成するための基地発電燃料が、予備を含め十分に確保できない可能性が高く、第Ⅷ期後半では昭和基地の維持のための燃料輸送等を優先せざるを得なくなった。

2.しらせ搭載大型ヘリコプターの1機運用
少なくとも第55次隊(2013/2014)および第56次隊(2014/2015)では、「しらせ」搭載の自衛隊ヘリコプター2機のうち1機しか運用できない事が判明している。南極地域観測統合推進本部で検討の結果、観測用ヘリコプターのチャーターにより可能な限り観測計画を実施する体制を整える事となったものの、観測計画のみならず昭和基地への輸送にも大きな影響を与える事から、第Ⅷ期後半に実施予定であった、重点研究観測計画を始め、一般研究・萌芽研究観測計画の大幅な計画の見直しが必要となった。

これらの理由から、例えば第Ⅷ期後半では、ドームふじ基地等への内陸旅行を伴う観測計画の中止等、実施予定の一般研究・萌芽研究観測計画についても観測計画の見直しや、第Ⅷ期後半での実施を見送らざるを得ない観測計画が少なからず出ております。今後、一般研究観測・萌芽研究観測課題公募を実施し、課題を採択したとしても、第Ⅷ期後半で実施できる可能性は極めて低い状況です。

一方、第58次(2016/2017)からスタートを切る次の中期計画である、第Ⅸ期6か年計画の策定が開始され、併せて一般研究観測・萌芽研究観測課題公募に関しても、第Ⅷ期での公募要領等の見直しを含めた検討を始めているところであり、現時点では、第Ⅸ期6か年計画の一般研究観測・萌芽研究観測課題公募は、来年度(平成26年度)後半には開始する予定です。

以上から、第Ⅷ期後半の一般研究観測・萌芽研究観測の毎年の課題公募に関しては、実施を取り止める事といたしました。

なお、南極地域観測第Ⅸ期6か年計画の一般研究観測・萌芽研究観測課題公募に関しましては、公募時期・要領等の詳細が決定いたしましたらご案内する予定です。

今後とも引き続き、南極観測事業へのご協力、ご支援の程よろしくお願い申し上げます。

本件についての問い合わせ宛先

南極観測センター企画調整チーム
TEL:042-512-0782
E-mail:ant-pact@nipr.ac.jp