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海氷安全講習

2013年3月11日


ゾンデ棒による安全確認
昭和基地から海氷に出る途中、雪面をゾンデ棒で突きながら、安全な場所を確認します。

 夏の間は、ヘリコプターを利用して、昭和基地からおよそ100km圏内の地点で活動することが可能です。しかし、そのヘリコプターは南極観測船「しらせ」とともに帰り、今、私たちが昭和基地から野外に出かけるには陸路しかありません。昭和基地は南極大陸から、海を挟んで約4km離れた東オングル島にありますので、陸路と言っても海氷(かいひょう)上の行動となります。

 海氷は一見、厚い板のように見えますが、潮汐、うねり、風などで生き物のように変化します。たとえば、昭和基地の周辺には、潮汐によって生じたクラック(海氷の割れ目)が生じます。地吹雪で積もった雪がクラックを隠すこともありますので、歩きながら「ゾンデ棒」という金属製の棒を雪面に突き刺して、クラックの有無や、その深さを確認して、安全な通り道を設定します。スノーモービルや雪上車で行動するようになっても、少しでも不自然な雪面があれば、ゾンデ棒で確認することが基本です。

 また、海氷上に道があるわけではないので、車両が安全に走行できる場所を選びながら目的地まで走行するルートを作ります。では、安全に走行できることをどのようにして確認するのでしょうか? 一つの目安は海氷の厚さです。氷の強度が十分な厚さに達しているかを確認するため、ドリルで孔を開けて、専用の道具で海氷の厚さを測定しながらルートを延ばしていくのです。これから徐々に気温が低下すると、海氷の厚さも増しますので、徒歩、スノーモービル、小型雪上車、という順番で行動範囲を拡げます。

 まもなく、海氷上での行動が開始されます。この日は、野外観測支援担当隊員による野外活動講習の一環として、ゾンデ棒やドリルの使い方の訓練を含む海氷安全講習が行われました。海氷は3m以上の厚さがあり、徒歩はもちろん、スノーモービルや雪上車で行動するのにも十分な厚さですが、その下は海ですから、初めて海氷上に出る隊員はもちろん緊張します。器具の取り扱いに早く慣れるよう、何度も練習を繰り返しました。


海氷をドリルで掘削
雪上車で走行するルートの安全を確認するために、電動ドリルで海氷に孔をあけて、海氷の厚さを測定します。

 
3月11日の気象情報
天気 快晴
日の出 05:43
日の入 19:18
最高気温 -9.8℃
最低気温 -19.3℃
最大風速 6.3m/s
 
 
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