昭和基地ではラジオゾンデという気象観測器を、ヘリウムガスが充填されたゴム製の気球にとりつけて飛揚し、地上から高度約30kmまでの大気の状態を観測しています。観測要素は気圧、気温、相対湿度、風向・風速で、世界標準時の0時と12時(現地時間の3時と15時)の1日2回、世界各地の観測点と同時に観測しています。この高層気象観測で得られたデータは、国際的な観測ネットワークの一環として、天気予報の基礎である数値予報モデルや気候変動・地球観測の監視等に利用されます。
2012年1月時点で、14か国が40の基地で越冬活動を行っていますが、高層気象観測を年間を通して実施している基地は13しかありません。日本国内では気象庁が16か所で高層気象観測を行っていますが、面積が日本の37倍もある広大な南極大陸では、14か国合わせても13地点でしか観測することができないのです。昭和基地では激しいふぶきになり、見通しがきかなくなることが多々あります。そういった日も貴重なデータを絶やさないために継続して観測を行っています。3月26日もふぶきでしたが、高層観測を実施しました。気球を飛揚した時間の平均風速は22.4m/sで、見通しは200m程度しかありませんでした。ふぶきの中で観測を実施する際、隊員は普段以上に気を引き締めて観測を行っています。
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