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レスキュー訓練

2013年4月25日〜27日


ロープワーク訓練
自分自身や負傷者を確実に固定したり、負傷者を引き揚げるときの結び方などを納得いくまでやってみます。いつでも練習できるように、食堂、休憩室、トイレ(!)にも短いロープが置いてあります。

 3月11日のエントリーで説明したように、夏の間はヘリコプターを利用して、昭和基地からおよそ100km圏内の大陸内部や沿岸地域において、無人観測装置の設置や保守作業を行います。越冬中も、可能な限り、正常に動作しているかを確認し、故障があれば修理します。目的地への行き帰りは雪上車です。例えば、内陸の「みずほ基地」であれば、およそ10日、沿岸では1週間程度の旅行を計画します。越冬中もヘリコプターを飛ばせばよいと思われるかもしれませんが、ブリザードから機体を守る保管場所、パイロットや整備士の確保、飛行には厳しい冬期の気象状況など困難な事が多く、どの国の基地でもヘリコプターを越冬中には運用していません。

 基地から離れた場所で行動するときに、最も気をつけなくてはならないのは怪我です。旅行には救急医療用品を携帯しますし、医療隊員が同行することもありますが、万一、大怪我をした場合には、医療設備の整った基地で手当をすることが必要です。危険はいろいろなところに潜んでいます。海氷上を雪上車で走行する場合、事前に安全を確認したルートしか走行しませんが、車から降りて歩いている時に、不注意で氷の割れ目に転落するかもしれません。沿岸では、雪上車で入っていけない陸地に観測装置を設置しているケースもあります。旅行でなくても、昭和基地の主要部から数km離れた場所で作業中に怪我をして動けなくなった時には、怪我人を雪上車まで安全に搬送しなくてはなりません。隊員は危険な作業ばかりしているのではないか、と思われたかもしれませんが、そうではなく、私たちが行動しているのは、南極という特別な環境なので、常に、最も困難な状況を考えて準備をしなくてはならない、と言うことをお伝えしたいのです。

 日本では、人里離れた山中であっても、携帯電話が通話圏内ならば、救助を要請することが可能です。しかし、南極では、私たち越冬隊しかいないのです。自分で持ち運べる道具で、救助が必要な人のいるところまでたどり着き、怪我人を基地まで搬送しなくてはなりません。そのような事態に対応するため、越冬隊では、野外行動の経験が豊富な隊員を中心にレスキュー隊を編成しています。さらに、隊員全員が、救助に必要な基本的な技術を習得して、それを実践できるようレスキュー訓練を行います。

 レスキュー訓練は、基礎から応用までのステップを踏みながら複数回行います。今回はその第1回目で、3日間をかけて隊員全員が4時間の訓練を行いました。国内の冬期訓練や夏期訓練でも講義や講習を受けており、その復習を兼ねて、室内で、基本的なロープワークやロープを用いた昇降器具の取り扱い訓練を行いました。今後、屋外に場所を移して、より実践的な訓練を計画しています。


昇降訓練
急な傾斜のあるところは、携帯に便利な軽く小さい器具をロープに取り付けて昇り降りします。コツさえ覚えれば、誰でも使いこなせます。建物内の鉄骨から垂らしたロープを使って、繰り返し昇り降りしました。

 
4月25日の気象情報
天気 曇後晴
日の出 8:38
日の入 16:00
最高気温 -11.0℃
最低気温 -17.0℃
最大風速 20.1m/s
 
 
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