|
７月７日朝、休日なので管理棟で私用をしていたところ、９時半ごろから急に風の音が強くなりました。30分くらいの間に風速が10m/s位から20m/s以上に上がり、窓の外では降り積もった雪が舞い上がるようになってきました。ブリザードです。
10時ごろには風速25m/sを超え、舞い上がった雪で視界も悪くなってきたので、外出注意令が、12時ごろには風速30m/sを超え、さらに降雪で視程（肉眼で物を確認できる最大の距離）も悪化してきたため、13時38分、54次隊初の外出禁止令が発令されました。
ブリザードなどで屋外行動をすることが危険な場合に出される警戒警報は「外出注意令」と「外出禁止令」の２種類あります。
外出注意令：速やかに非常食のある建物内に避難する。建物間の移動など外出が必要な場合は、2人以上で行動する。
外出禁止令：外出注意令よりワンランク上の警報で、原則的に建物外へ出ることを禁止する。
と定められています。
外出禁止令はあらかじめ定められた風速および視程を目安に発令されます。建物間にはロープが張られていて、視程が悪化してもロープ伝いに移動しますので遭難することはありません。しかし、視程は一定ではなく急激に悪くなることもありますので、南極での行動にはこのように厳格な規則が決められています。
昭和基地は発電棟-管理棟-居住棟が通路棟という渡り廊下でつながっており、建物内にいる分には差し迫った危険も感じることなく、普通に生活が送れるように設計されています。
ですが、さすがに風速30m/sを超えると建物自体が風で揺れて、コップの中の水が波立つほどになります。
結局この日は日最大（平均）風速44.4m/sで昭和基地観測歴代６位、日最大瞬間風速も53.7m/sで歴代９位を記録しました。
（注：瞬間風速は３秒平均値（0.25秒ごとに測定）、（平均）風速は10分平均値）
|
