雪上車の整備をやっていたので、手伝いに参加しました。
54次の南極観測隊は主に4種類の雪上車を運用しています。大陸での活動のために荷物の運搬能力を考慮した馬力のある大型車(SM100)、しらせと昭和基地の間の氷上輸送用の中型車(SM60・SM65)、基地周辺・冬季の沿岸や大陸周縁で運用される小型車(SM40)、海氷上の走行を主目的として小型・軽量で万一海に落ちた時に浮上するための排水ポンプを装備した浮上型(SM30)に大別されます。それぞれの雪上車には用途にあわせて荷物の吊り上げ作業用のクレーンや、除雪用のブレード、居住できるユニットなどのオプションが付いています。
今回は主に大陸で使用する大型の雪上車SM100が整備のために自然エネルギー棟の車両整備室に入っていました。
まるで電車を思わせるような巨大な車体で、運転席も人の背の高さくらいの位置にあります。本体の高さ約3.2m、幅3.7m、長さ6.9m、重量は約11.5トンあります。これで2t積みソリを最大で7台牽引します。この車両は40次隊で持ち込み、丁寧に整備しながら極地の過酷な環境の中で活躍してきました。
みなさんご存知の通り、雪上車はブルドーザーやパワーショベルなどと同様に無限軌道(あるいは履帯、一般にキャタピラと言われているもの)を装着しています。この下に潜り込んで太いボルトをはずしてタイヤとサスペンションをとり外しました。一つ一つの部品がずっしりと重いです。もちろん両側で2千数百個ある無限軌道のボルトとナットも一つ一つ手作業で締めていきます。ボルトの緩み一つでも巡り巡って走行の妨げになり、ひいては観測の障害や身体の危険につながるので気が抜けない作業なのです。南極での活動には雪上車を含めて車両や重機は欠くことのできないもののため、越冬隊メンバーの中には雪上車の会社と自動車の会社から派遣された隊員が必ず入っています。
車の下にもぐってみたり、部品をはずしてみたり、普段する事のない仕事で面白かったのですが、機械部門の隊員の方には危なっかしい手伝いをわざわざ作業の手を休めて見守っていただき、かえって邪魔をしに行ったような日でした。機械部門の皆さん、いつもお世話になりありがとうございます。
なお、雪上車のことについては54次で運用している車種とは異なっているものもありますが、極地研のホームページのポーラーアカデミーの記事もご参照ください。
|