地球は1つの大きな磁石になっており、地球の周りには磁場が存在します。地球の磁場は、太陽から吹きつける太陽風というプラズマの風が直接地球に達するのを防ぐことで、地球上の生物を守っています。また、地球でオーロラが見られるのも、この磁場のおかげです。そして、地球磁場の向きと強さを正確に測定するのが地磁気絶対観測です。
昭和基地では月に1回、地磁気絶対観測を行っています。磁性のあるものを近づけると磁場が変化してしまうため、観測の際は半径100m以内は立ち入り禁止になります。観測が行われる地磁気変化計室は基地主要部から100m以上離れており、他の建物の影響を受けにくくなっています。観測を行う隊員は、ベルトや時計といった磁性のあるものを外して観測を行います。
地磁気絶対観測にはだいたい2時間くらいかかります。地磁気変化計室には暖房などは置いていないため、真冬には−30℃くらいの中で観測を行うこともあります。装置を扱う隊員は薄い手袋1枚で観測を行うため、とてもつらい作業になります。
昭和基地での地磁気絶対観測は1966年から行われており、年々磁場が弱くなっていることがわかっています。ただし、このまま磁場が弱くなっても、完全に無くなるのは遠い将来のことですので、私たちはこれからも美しいオーロラを楽しむことができるはずです。
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