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春の訪れ

2013年10月9日


ウェッデルアザラシの親子

 昭和基地では、9月後半から天気のよい日が続いています。春分(日本では秋分)を過ぎ、朝4時前には空が白み始め、夜9時頃まで照明なしで外を歩くことができます。この日射しに誘われたかのように、ウェッデルアザラシを基地の周辺で見かけることが多くなりました。

 島や氷山の周囲にはクラック(海氷の割れ目)があり、アザラシはクラックの一部を歯で削り、呼吸用の穴を作っています。穴と言っても、体長約2.5メートル、体重約400キログラムのアザラシが、海と海氷上を往き来する出入り口にもなっているため、人間の大人よりも一回り、いや二回り以上大きいのです。放っておけば凍ってしまうので、見たことはありませんが、穴を維持する作業は、きっととても大変なのではないでしょうか。

 9月中旬に、基地から40キロメートルほど南の島を通りかかった時、3頭のアザラシが海氷上で日向ぼっこをしていました。この日、同じ場所を通ると、生まれたばかりの子供と母親がいました。つい最近、出産したものと思われます。「南極地域の環境の保護に関する法律」(*)に従い、アザラシ親子を刺激しないように遠巻きに観察しましたが、それでも、赤ちゃんアザラシのあまりの可愛さに、しばし見とれてしまいました。


ウェッデルアザラシの新生仔(しいせいし;赤ちゃん)
 

※「南極地域の環境の保護に関する法律」

南極地域は、1961年に発効した「南極条約」により、領土権の凍結、軍事利用の禁止などが図られて、国際協力に基づいた科学観測の場として利用されています。近年、基地活動や観光利用の影響が危惧されてきたために、環境保護を目的として、1991年に「環境保護に関する南極条約議定書」などが採択され、1998年に発効しました。この議定書は、活動前の環境影響評価や廃棄物処理など、幅広い義務を果たすことを求めています。そのため、日本は、1997年に国内法として「南極地域の環境の保護に関する法律」を制定しました。

この法律では、科学的調査を除き、動植物そのもの、そしてそれらが生きる環境に影響を及ぼす行為をしてはならないと定めらています。ペンギン、鳥、アザラシなどに対して、捕まえたり、群れを乱したり、餌を与えたり、触ったり、驚かしたりすることは禁止されています。観察や撮影の場合、ペンギンは5メートル、アザラシは15メートル以上離れるのが目安とされています。詳しくは、環境省のホームページをご覧下さい。

 
10月9日の気象情報
天気
日の出 4:52
日の入 19:29
最高気温 -14.3℃
最低気温 -24.0℃
最大風速 4.5m/s
 
 
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