11月に入り、本格的な除雪作業が始まりました。冬の間は、強いブリザードの後には2階立ての建物の屋根まで届く大きな吹きだまりができ、建物、燃料や汚水の配管、水槽が、雪の重みで破損しないように、およそ1週間をかけて除雪することを度々行ってきました。今回の除雪は、目的が異なります。12月中旬に昭和基地に到着する第55次隊が当面行う活動に必要な物資は、すぐにヘリコプターで輸送されますので、その物資を基地内の所定の場所に運ばなくてはなりません。また、基地内の様々な場所で、設備の新設や補修、建築作業などが予定されています。道路や作業予定場所に雪が残ったままでは、その作業がはかどりませんので、前もって除雪を行なうのです。余り早く除雪作業を始めても、ブリザードが来襲すると、取り除いた部分にまた雪が積もってしまいますので、例年、この時期に始めます。
昭和基地では、基地の中心部からおよそ500mの範囲に多くの建物や設備が集まっていますが、燃料タンクなど約1km離れた場所にも重要な設備があります。そのような場所を結ぶ主要道路は、総延長2kmほどです。冬の間、この道路には雪が厚く積もりますので、キャタピラが装備された車両で往き来しますが、そのような車両のスピードは遅く、移動に時間がかかります。短い夏の間に作業を進めるためには、トラックなどの普通の車で人や荷物を運ぶことが重要なのです。
道路に積もった雪の深さは、2〜3メートルにもなりますので、ブルドーザやショベルカーなどの重機を使用し、また、重機が入れない場所はスコップで除雪します。気の遠くなるような作業ですが、一年前には第53次越冬隊が同じような準備をしてくれたおかげで、私たちが昭和基地に到着してすぐに、作業に取り掛かることができました。このことを思いながら、機械、環境保全、建築・土木、野外活動支援各部門の隊員を中心に、多くの隊員が、時には、白夜のもとで遅くまで、除雪作業に取り組んでいます。
|