南極昭和基地を拠点とした研究観測活動は、オゾン層破壊現象の発見、地球温暖化ガスの変動の解析、オーロラ発生メカニズムの解明、月や火星隕石の発見、南極氷床掘削、南極生態系の解析など世界に誇るべき科学的成果を挙げるとともに、国民の夢を育むという教育的効果ももたらしてきました。
また、日本は南極条約原署名12か国の一員として南極地域の科学的調査推進、環境保護及び海洋生物資源の合理的利用に貢献してきました。
南極観測事業の実施には、観測隊員の派遣及び物資・燃料補給のための砕氷船と搭載輸送用ヘリコプターが欠かせません。南極観測船「しらせ」は、2007年(平成19年)に船齢25年を迎えますが、老朽化が目立ち、これに代わる後継船の建造が必要です。また、輸送用ヘリコプターの更新も求められております。
現在、「しらせ」後継船の建造及び輸送用ヘリコプターの更新について予算要求がなされていますが、万が一これらが実現されなければ、2008年以降の南極観測は、中断を余儀なくされます。
南極観測を中断することは、日本が地球を観測する大事な手段を失うことに通じます。このことは日本の地球環境問題に対する姿勢を国内外から問われるとともに、南極条約に基づく国際協力体制からの脱落を意味するものであり、絶対にあってはならないことです。また、白瀬探検隊以来の我が国の南極観測の歴史を損ねます。
よってここに、政府に対して、南極観測事業実施の要である「しらせ」後継船の建造及び輸送用ヘリコプターの更新を強く要望することを宣言します。
平成15年11月7日
「南極観測の将来を考える会」
代 表 村山雅美
発起人 和泉雅子、今井通子、大村 纂、北川弘光
國分 征、小堺一機、小平桂一、柴田鐵治
島村英紀、鳥居鉄也、西田篤弘、日高敏隆
平澤威男、平山善吉、星合孝男、毛利 衛
吉田栄夫
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