大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 南極観測のホームページ

昭和基地NOW!!

西オングル大池へGO

2017年5月17日

湖面が透明な氷で覆われた西オングル大池

昭和基地が建っているのは東オングル島という島の上。南極大陸の縁辺から約4km離れています。今日は朝10時に昭和基地を出発して、東オングル島の隣にある西オングル島まで行ってきました。太陽が昇る時間が日に日に遅くなり、午前10時を過ぎてもまだ薄暗い状態で、14時過ぎには暗くなり始めます。おかげで、野外で活動できる時間がかなり限られてきました。

2月下旬から、月に2回くらいの頻度で西オングル大池に通い、水質を観測し、湖水サンプルと湖底生物サンプルを採取しています。これによって、一年を通して湖の水中環境がどのように変動し、それに対して生物たちがどのように応答し変化しているのかを明らかにしようと考えています。南極でこう言ったデータとサンプルを夏の時期に得るのは比較的簡単ですが、それ以外の秋〜冬〜春の時期に得るのはとても困難です。なぜならば、この時期に野外で調査するのが厳しい気象条件であることや、この時期の調査のために一年以上南極に滞在し続ける必要があるからです。つまりそれは、南極で越冬するということを意味します。そのせいか、世界的にも南極の湖の一年を通した連続的に採取されたデータや試料はほとんどありません。というわけで、今回の越冬中に取っているデータや試料は世界初のものばかりです。

西オングル大池までは、昭和基地から最短ルートの海氷上を徒歩で渡って、1時間強で到着します。今日の行動中の気温は-12℃ほどでしたが、西オングル大池の周辺には風をしのぐような場所はなく、否応なく風速10〜15m/sの風に吹かれ続けました。この体感温度は-35℃くらい。ただでさえ、重いアイスドリルや調査機材を担いで疲労が激しいのに、さらに体力が奪われていきます。調査に使う観測機器や道具も、水中から空中に出すとすぐに凍りついてしまいました。

それにしても、これから極夜期に入って暗くなるというのもあるのですが、それだけでなく今日の環境条件が、小屋も何もない場所へ時間をかけて徒歩で行く野外調査としては限界なんだなあということを、身を持って感じたのでした。そんなわけで、これをもって、西オングル大池の継続調査はしばらく中断。また太陽が昇り始める7月の下旬から、調査を再開します。

アイスドリルで湖氷に穴を開け、調査をする

湖氷にはいくつもの亀裂や不思議な気泡が見える

西オングル大池の湖岸すぐにある第1次隊の上陸地点にて

2017年5月17日の気象情報

天気 日の出 日の入 最高気温 最低気温 最大風速
曇りのち晴れ 10:21 14:14 -7.6℃ -12.2℃ 18.0m/s

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