大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 南極観測のホームページ

昭和基地NOW!!

PANSY

2015年12月14日

アンテナメンテナンス中

日本の南極観測の歴史でも最大規模のプロジェクトである南極昭和基地大型大気レーダー観測「PANSY(Program of the Antarctic Syowa MST/IS radar)」。これは、昭和基地に大きなレーダーを建設して、対流圏、成層圏、中間圏、電離圏を網羅する地上1kmから500km までの高度の南極の大気現象を、世界で初めて高精度で明らかにしようとするプロジェクトです。

建設開始から5年経った今年の2月、計画されていたシステムの調整がすべて完了しました。この間、南極海の厚い海氷に阻まれて「しらせ」が接岸を断念して観測資材の輸送が中断するなど、途中多くの困難がありましたが、それを乗り越えてのシステムの完成です。

昭和基地のPANSY施設のエリアには、高さ3mのアンテナがおよそ千本、威風堂々と整列しています。ここは、なんと、東京ドームよりも広いんですよ。アンテナはただ並んでいるだけに見えるかもしれませんが、19本を1ブロック(群)として蜂の巣状になるよう、全部で55群が規則的に並べられています。このように並べることで、アンテナ配置面積相当の大きなパラボラアンテナを設置しているのと同じことになります。さらにすごいのは、1本1本のアンテナから電波を出すタイミングを少しずつ変えることによって、まるで大きなパラボラアンテナの微妙な傾きまで再現できるのです。PANSYレーダーチームは、その先駆的な取り組みが評価され、第8回海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)を受賞しています。

そして、この10月、ついに、55群全群フルスペックの送受信モジュールを用いた1年間の連続観測が開始されました。今後得られる観測データは大変貴重なもので、南極特有のオゾンホール、極中間圏雲、カタバ風循環などの実態や、地球全体の大気大循環の駆動メカニズムなどの解明が期待されています。56次隊でPANSY施設を管理する担当隊員は「全群観測が始まったこのタイミングで観測に携われることを嬉しく思う」と笑顔。

特に、来年1月には、昭和基地のPANSYが主導となり、北極(ノルウェー)、赤道(インドネシア)、日本(滋賀県甲賀市信楽町)、南米(ペルー)などにある世界の主要な大気レーダー施設がほぼすべて参加協力する、初の世界同時観測も予定されています。北半球で大きな気象変動が起きるとき、それと関係して南極ではどのような事が起こるのか。昭和基地・PANSYによる観測が、歴史に残る大きな発見につながることでしょう。

今冬のPANSY

昨夏のPANSY

2015年12月14日の気象情報

天気 日の出 日の入 最高気温 最低気温 最大風速
曇一時雪 -1.5℃ -5.2℃ 6.2m/s

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