氷上輸送

日本から昭和基地に持ち込む物資、あるいは持ち帰る物資のうち、「しらせ」搭載ヘリコプターで空輸することができない重量物、長尺物の大型物資(建設機械や12フィートコンテナなど)は、雪上車を使い、「しらせ」と昭和基地の間の海氷上を輸送します。観測隊では、この輸送方法を氷上輸送と呼んでいます。

日本から「しらせ」に載せて持ち込んだ大型物資はまず、「しらせ」のクレーンを使用して氷上で待機している大型のソリに下ろし、ベルトや専用金具でソリに固定した後、雪上車で牽引して昭和基地まで運びます。なお、キャタピラを装着している車両の輸送については、ソリに載せずに自力で氷上を走行させて運ぶこともあります。

昭和基地周辺の海氷の厚さは年によって異なりますが、1.5m程度の厚さがあればこうした輸送物資の荷重に十分耐えられます。ただし、海氷の表面や雪面は日射により柔らかくなるため、氷上輸送は気温が低下する深夜に行われます。

昭和基地周辺の厚い海氷により「しらせ」が昭和基地沖に接岸できず、片道約30kmの氷上輸送を実施したこともありました。

「しらせ」が昭和基地に接岸すると、大型物資がクレーンによって橇の上に降ろされ、海氷上を雪上車で基地まで輸送する。

53次隊では、分厚い氷に行く手を阻まれて「しらせ」が昭和基地に接岸できず、片道約30kmの長距離氷上輸送を実施した。