EN メンバーズサイト
ログイン

専門家派遣

  1. HOME
  2. 専門家派遣
  3. 会議報告書
  4. 北極圏汚染物質行動計画作業部会(ARCTIC CONTAMINANTS ACTION PROGRAM: 略称ACAP)ウェビナー:水銀および水銀と他の汚染物質が複合的に及ぼす健康と生態系への影響について

北極圏汚染物質行動計画作業部会(ARCTIC CONTAMINANTS ACTION PROGRAM: 略称ACAP)ウェビナー:水銀および水銀と他の汚染物質が複合的に及ぼす健康と生態系への影響について

報告者:中澤 暦(福岡工業大学/陸域課題)

2020年9月22日、北極評議会ACAPワーキンググループによるウェビナー“Mercury and its combined effects with other contaminants on health and ecosystem”が開催されました。本ウェビナーでは、ワークショップとAMAPの活動報告が行われました。

ワークショップでは、ACAPのPOPs and mercury expert groupより、ダイオキシンや水銀による問題や、ロシアにおける放置された化学工場における汚染把握とその解決へ向けた取り組みが紹介されました。また、同グループがAMAPと協働し、さまざまなステークホルダーに対して行ったアウトリーチ活動や、北極圏におけるリスク評価・削減・アクションプランを提示し、2019年にレビューされていることについても報告されました。

AMAPの活動報告では、Flagship on Hazardous Substances Centerより、この10年で世界の化学物質生産・消費量がほぼ倍になり、新たな化学物質のリスクとしてシロキサン (siloxanes) が注目されており、現在REACHにてリスク評価が行われていることが紹介されました。また、北極圏の化学物質と気候変動に対するリスクガバナンスの体制のフレームワーク検討、マイクロプラスチックに対する関心の高まり、その中でも特にゴム粉末の容易な海洋流出についての議論についても言及されました。

Arc Risk Projectからは、北極圏における環境中水銀の発生源の一つであるロシア・カナダの河川に注目したプロジェクトが展開されていること、ロシア連邦による2017年の水銀インベントリについての報告が行われました。

また、Russia’s work on mercuryによるイルクーツクの化学プラントにおけるPopsと水銀の汚染に関する報告、カナダ北極域の水域生態系についての研究結果として、水力発電ダムの建設によって水没した地域で水銀が流域に流出することによる影響についての報告も行われました。

その他、アメリカからはGEOS-Chemなどの大気モデルを用いたPAHsの解析結果が報告され、カナダからは同国人全体の水銀暴露量は減少しているものの、北極域や五大湖エリアにおいては長距離越境輸送や気候変動により水銀量が増加しているため、水銀のモニタリング、リスクマネジメント、リスクコミュニケーション、国際的な連携に力をいれて政策を進めていることが報告されました。