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北極動植物相保全作業部会(CONSERVATION OF ARCTIC FLORA AND FAUNA: 略称CAFF)北極域における生物多様性の主流化 – 北極域の鉱業に関するオンライン・パネルディスカッション

報告者:高橋美野梨(北海道大学/国際政治課題)

2020年11月17日から18日にかけて、北極評議会(Arctic Council)北極動植物相保全作業部会(CAFF)の北極域における生物多様性の主流化 – 北極域の鉱業に関するオンライン・パネルディスカッションが開催されました。

 今回の会合では、2018年に開始し第2フェーズに入った北極域の鉱業における生物多様性の主流化プロジェクト(MBAM)の在り方について議論が行われました。

1日目は、第1フェーズのレポートを振り返り、そこから導き出された9つの行動計画(課題・解決策共有のためのアウトリーチ実施、北極域鉱業関係者との対話・関係性の強化、関係者に向けたグッドプラクティスの発信、生態学的補償の有用性評価、北極評議会常時参加者との協働によるコミュニティへの有意義な関与、速やかな情報提供、生物多様性関連データの共有による企業・機関・コミュニティとの関係強化、CAFFモニタリング計画の採用奨励・支援、データ収集・共有を促進するためのパイロット事業の開始)を第2フェーズにどのように乗せるかについて議論が行われました。後半は3つのブレイクアウトセッション(産業、生物多様性/保全専門家/政府)が行われました。要点として、ステークホルダーとしての先住民(団体)の重要性を再認識すること、「北極域における大地の持続可能な利活用の術」をよく知る彼らとの協働をスムーズにするという役割をCAFFが担っていることが強調されました。

2日目は、1日目の振り返りとQ&Aセッション、ブレイクアウトセッションにおける議論の要約報告、本プロジェクトにおける次の一手が再び検討されました。9つの行動計画のうち、特に「データ回収を容易化するためのパイロット事業の開始」に焦点を当てた議論が多く交わされました。本プロジェクト第2フェーズの中心的なモチーフである「鉱業、ローカル・コミュニティ/先住民(団体)、政府機関」の3者にまたがる「共通項の拡張」が議論のキーワードとなりました。3者の間に存在する知識の差を相互補完しつつ、それぞれが持つ知識を適切に管理していくことで、「3者が重なる部分=共通項」を効果的に拡張させることが可能となります。そのために、CAFFはいかにして効果的に協働を促進させていけるかという点について、意見交換が行われました。

最後に、行動計画が策定されることと、それが実際に履行されることは別物であることが改めて確認され、9つの行動計画全てを履行のフェーズに変換させていく必要があるという認識が参加者間で共有されました。単に研究成果を示すだけではなく、政策提言的な成果の提示は、今後さらに必要性を増していくと思われます。

CAFF ウェブサイト(英語)