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ASSW2022・IASC陸域作業部会会合参加報告

報告者:内田 雅己(国立極地研究所/陸域課題)
檜山 哲哉(名古屋大学/陸域課題)

国際北極科学委員会(International Arctic Science Committee:IASC)の陸域作業部会(Terrestrial Working Group:TWG)が、ASSW2022(Arctic Science Summit Week 2022)開催期間中の2022年3月27日に開催されました。会場はノルウェー・トロムソでしたが、オンラインでの出席も認められていたため、ハイブリッドでの開催となりました。

会議の冒頭では、議事次第の確認を行ったのち、各国代表者がナショナルリポートについての説明を行いました。その後、TWGが資金提供する5つの活動に関する報告が行われました。草食動物ネットワークプロジェクト(The herbivory network)は2021年秋の会合はオンラインで実施されました。また、草食動物が有機物分解に与える影響を北極陸域全体で明らかにするため、標準物質を用いた分解実験の協力者を募っていました。北極植生アーカイブプロジェクト(Arctic vegetation archive)も2021年実施予定のワークショップがCOVID-19蔓延の影響により、2022年ロシアで開催予定だった北極生物多様性会議(Arctic Biodiversity Conference)期間中の開催に変更されましたが、実施困難となったため、ASSW2023期間中の開催へと再度変更されました。アラスカとロシアにおいて、データセットの統合を進めていますが、こちらもCOVID-19の影響と予算不足のため、予定より遅れています。アラスカのデータはAlaska Arctic Geobotanical Atlasで、ロシアはRussian Arctic Vegetation Archiveで公開され始めています。北極海における大規模観測プロジェクトThe Multidisciplinary drifting Observatory for the Study of Arctic Climate(MOSAiC)と同時並行で陸域について周北極レベルで調査するT-MOSAiCプロジェクトについては、プロジェクトの終了にあたり、これまでの成果について報告がありました。このプロジェクトは広範囲の学術分野が協力した学際的なプロジェクトであり、大きな成果を挙げたことから、今後プロジェクトの継続について検討を進めているとのことでした。

TWGでは5年ごとに今後の作業計画をまとめています。2022年秋からの次期作業計画についてアイデアを出し合いました。始めに、非生物/生物のリンケージとフィードバック、急激な変化と極限での生活、社会的-生態学的なシステムと開発、TWGの目的と成果の周知、という4つのテーマが設定されました。自由にアイデアを出し合い、15ほどのアイデアが出されました。アイデアの中には、北極域住民への利益を意識するだけに留まらず、研究への理解や興味が得られるような工夫を凝らしたものが含まれていました。