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北極海氷分布予報2020 ―航路開通日の予測が高精度で的中―

(関係課題)気象予測課題北極海氷情報室

北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)では、気候予測課題(東京大学羽角グループ)と北極海氷情報室の連携で北極海の海氷分布予報を出していますが、今年のロシア側北極海航路の航路開通日の予報精度について観測に基づく検証が行われました。

5月22日の第1報では8月1日を航路開通日と予報していましたが、検証では8月2日となり、誤差1日という高精度の予測結果となりました。

*ArCS IIでは北極海氷情報室が出来ました。北極海氷情報室はADSと共同で、このようなより実務利用に近い形での情報発信と情報交換を担っていきます。

海氷分布の中期予報に関しては先行プロジェクトから「航路開通日の予報精度が一週間以内」というのを目標としてきましたが、下記の表からもそれが達成されてきたことが分かります。なお、一週間というのは、氷のない北東航路を東西に通過する標準的な期間で「誤差1航海分」を意味しています。

年(予報発表日) 予報 観測
2015(5月28日発表) 8月24日 8月16日
2016(5月25日発表) 8月25日 8月31日
2017(5月19日発表) 8月20日 8月23日
2018(5月17日発表) 8月15日 8月15日
2019(5月16日発表) 8月15日 8月9日
2020(5月22日発表) 8月1日 8月2日

航路開通日は、「海氷密接度15%以上の海域に進入することなく通過航行できる」を基準に、AMSR2(GCOM-W衛星に搭載のマイクロ波放射計)による海氷密接度画像をもとに決定しています。

氷海域では砕氷船が先導することにより、もっと早くから商船が航行していますが、本研究では、「氷海仕様でない普通の船でも北極海航路を横断航海できる」を、想定しています。実際には同じ海氷密接度でも航行が容易かどうかは氷況によって異なるので、あくまでも目安の日付となることにご留意ください。

木村詞明(東京大学/気候予測課題研究分担者)