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出張授業・東京都立立川高等学校創造理数科

2022年10月7日(金)に、東京都立立川高等学校の創造理数科1年生を対象に、「海の物理入門」と題して、北極海の衛星海氷データを利用した出張授業が行われました。講師の丹羽 淑博氏(国立極地研究所)による実施報告を掲載します。


この授業は「海の物理入門」と題して、理数探究の活動を始めたばかりの高校1年生に対して海洋や北極の研究を紹介することを目的として実施したものです。計2時間の授業で、前半は海の流れを支配する物理法則や数値シミュレーションの手法について、高校で習う物理や数学の内容と関連づけながら説明しました。水槽実験や数値シミュレーションのデモも行いました。

そして後半の時間は、海洋観測や観測データについて知ってもらうために、地球上で温暖化が最も早く進行する海域である北極海にフォーカスして授業と実習を行いました。はじめに北極海の気候変化における重要性とそこでの観測の意義と必要性、観測方法について説明し、それから実習にうつりました。実習では生徒が持っているノートパソコンを使って北極域データアーカイブシステム(ADS) にある衛星海氷データ を操作し、1年間の北極海の海氷分布の変化を示す動画を作成してもらいました。この動画を繰り返し見ることで、北極海の海氷の季節変化のくわしい観察を行いました。さらに、生徒には北極域地図 も配り、海氷データや地図を観察して気づいたことや疑問に思ったことを一人ずつ発表してもらいました。


ホワイトボードの写真が示すように、この実習を通じて、生徒たちは海氷の分布や形成・融解過程、北極域の地理的な特徴について多くのこと発見し、生徒同士で共有しながら学ぶことができました。初めて見る北極海の海氷データに生徒たちが真剣に集中して向き合う姿が印象的でした。学校の先生からも、観測データの見方や、答えのない問題にどのようにして取り組むかについて、これからの生徒の探究活動にいかせるよい経験ができたとコメントをいただきました。

学校・団体名 東京都立立川高等学校(SSH)
対象 創造理数科 1年生
実施日 2022年10月7日(金)
講師 丹羽 淑博(国立極地研究所)
活動内容 丹羽氏による講義とワークショップ(120分)
参加人数 42名
参加者からの声 ・実験と理論だけでなく、数値シミュレーションを合わせて考えることでより深い研究につながることが分かった。

・実験、理論からシミュレーションが有用視されていて活用されていると知り、課題研究になにか使えないかと思った。

・津波の速度と震度の関係の実験が分かりやすかった。

・今回難しくてなんとなくでしか理解できなかった微分積分による公式を大学生になってからまた理解したい。

・今までは、ただ単に地球温暖化が進んでいけば、氷が解けていくだけだろうと思っていましたが、あんな正のループがあると知り、危機感を覚えました。

・一人一人が考えを述べたり、実際に実験したりと、能動的な学習が多く、とても学びやすかった。

・偏見なくデータを見ることの大切さと、なんでも良いので気づいたことをそのままにしておかないで、自分なりに答えを見つけようとしてみることの大切さを理解できた。