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プレスリリース 著者からのメッセージ
— ArCS IIニュースレターNo.6より —

ArCS II ニュースレター No.6では、2022年春から秋にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。
※所属はニュースレター発行時の情報です。

多様な植物が共存できる理由は? 緯度に沿ったパターンを発見

西澤 啓太
(東京大学 先端科学技術研究センター)


地域や環境が変われば違う植物が見られ(日本と北極など)、その理由は容易に想像できます。一方で、現実では同地域、同環境でも多様な植物が共存しています。この同所的な多種共存をもたらす要因(種間関係や散布制限など)は地域によって異なり、一般則は得られていませんでした。今回、世界中の研究を収集、統合解析することで、この局所的な多種共存をもたらす要因が緯度とともに変化することを世界で初めて明らかにしました。

論文タイトル The latitudinal gradient in plant community assembly processes : A meta-analysis
掲載誌 Ecology Letters
掲載日 2022年5月26日
著者 Keita Nishizawa, Naoto Shinohara, Marc W. Cadotte, Akira S. Mori
DOI https://doi.org/10.1111/ele.14019

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隕石由来の物質を電子顕微鏡分析によってエアロゾル粒子から検出

足立 光司
(気象庁 気象研究所 全球大気海洋研究部)


隕石は北極を含む地球上のあらゆる場所に落ちてきます。多くは途中で燃え尽き、微細なチリとして成層圏などの上空に漂いますが、その実態はよく分かっていませんでした。本研究では飛行機観測によってエアロゾルを採取し、隕石に特徴的な鉄やマグネシウムといった元素が硫酸塩に溶けている粒子を電子顕微鏡分析で見つけました。今回の研究結果は、地球外物質が地球気候に与える影響を考える上で重要なカギになると考えられます。

論文タイトル Meteoritic materials within sulfate aerosol particles in the troposphere are detected with transmission electron microscopy
掲載誌 Communications earth & environment
掲載日 2022年6月16日
著者 Kouji Adachi, Naga Oshima, Nobuyuki Takegawa, Nobuhiro Moteki, Makoto Koike
DOI https://doi.org/10.1038/s43247-022-00469-8

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北極海海底で起こる植物プランクトンブルームの発見

塩崎 拓平
(東京大学 大気海洋研究所:写真左)

藤原 周
(海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター:写真右)


植物プランクトンは海洋における主要な基礎生産者であり、海洋生態系を支えています。植物プランクトンの生産は一般に表面で最も高くなるため、人工衛星による全球規模での観測が続けられています。私たちは北極海陸だな域海底で起こる“隠れた”植物プランクトンブルームを発見しました。この現象を考慮すると、北極海ではこれまで推定されていたより基礎生産量(二酸化炭素固定量)が多い可能性があります。

論文タイトル Bottom-associated phytoplankton bloom and its expansion in the Arctic Ocean
掲載誌 Global Change Biology
掲載日 2022年9月27日
著者 Takuhei Shiozaki, Amane Fujiwara, Koji Sugie, Shigeto Nishino, Akiko Makabe, Naomi Harada
DOI https://doi.org/10.1111/gcb.16421

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チュクチ海に浮遊・流入するマイクロプラスチック量を初めて推定

池上 隆仁
(海洋研究開発機構 地球環境部門)


北極海の入り口に位置するチュクチ海でのマイクロプラスチック(MPs)の動態把握は、喫緊の課題でした。私たちは、チュクチ海に浮遊するMPs量および太平洋から当該海域に流入するMPs量を観測データから初めて推定しました。その結果、太平洋から流入したMPsの大部分はチュクチ海の海水中ではなく、海氷や海底堆積物、あるいは太平洋起源水の下流域に蓄積していることが示唆されました。今後も調査を推し進め、政策提言に資する知見の蓄積に貢献していきます。

論文タイトル Horizontal distribution of surface microplastic concentrations and water-column microplastic inventories in the Chukchi Sea, western Arctic Ocean
掲載誌 Science of the Total Environment
掲載日 2022年11月1日
著者 Takahito Ikenoue, Ryota Nakajima, Amane Fujiwara, Jonaotaro Onodera, Motoyo Itoh, Junko Toyoshima, Eiji Watanabe, Akihiko Murata, Shigeto Nishino, Takashi Kikuchi
DOI https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2022.159564

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