GRENE北極気候変動研究事業 公開講演会 「遠くて近い北極 ―ここまでわかった温暖化―」

GRENE北極気候変動研究事業 公開講演会 「遠くて近い北極 ―ここまでわかった温暖化―」

日 時 2014年3月15日(土) 14:00開演(13:30開場)
場 所 自由学園 明日館講堂 (東京都豊島区西池袋2-31-3)
参加費 無料
対 象 北極研究に興味のある方
主 催 北極環境研究コンソーシアム
    情報・システム研究機構国立極地研究所

お申し込み

主旨

2013年9月に公開されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書で地球温暖化に関する重要な報告がありました。観測において近年、グリーンランド氷床の縮小、北極海の海氷面積や北半球の春季の積雪面積の減少などが報告され、北極では温暖化が急速に進んでいることが改めて確認されています。

北極の急激な温暖化は局所にとどまらず地球全体にも影響を与えることがわかってきました。中緯度に位置する日本でも豪雨・豪雪や猛暑・寒波などの異常気象が増加していますが、これらも北極の温暖化と関係しているのでしょうか。

北極では何が起きているのか、そしてそのことは地球全体や日本付近にどのような影響を及ぼしているのか。本講演会の第一部では、GRENE北極気候変動研究事業で活躍している日本の研究者が、急変している北極の様子や急激な温暖化の現状についてこれまでの研究でわかってきていること、そして今後どうなっていくのかを語ります。

第二部では、会場の皆さまからのご質問を交えながらパネルディスカッションを展開します。

本講演会を通して北極研究への理解がより一層進む機会となることを期待しています。

プログラム

13:30 開場  
14:00 開演  
〈第一部〉 講演 講演者(所属先)
  序章 北極温暖化を取り巻く状況 榎本 浩之(国立極地研究所 教授)
  海 冷たい海の変化と生態系 三谷 曜子(北海道大学 准教授)
  陸 グリーンランドで氷河・氷床に起きていること 杉山 慎(北海道大学 講師)
  空 温室効果気体の振る舞い 森本 真司(東北大学 教授)
  日本の気象と北極の温暖化との関係 浮田 甚郎(新潟大学 教授)
〈第二部〉 パネルディスカッション  
  室山哲也氏の司会進行のもと、第一部の講演者にご登壇頂き、会場からのご質問を交え討論を行います。

司会進行 室山哲也 氏(NHK解説委員)

NHKに入局後、「ウルトラアイ」「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」など多くの科学番組プロデューサーを務める。解説委員として科学技術、生命・脳科学、環境、宇宙工学などを中心に論説をう一方、科学教育の分野でも尽力。

モンテカルロ国際映像祭金獅子賞、銀獅子賞・レーニエ3世賞・放送文化基金賞・上海国際映像祭撮影賞・科学技術映像祭科学技術長官賞・橋田壽賀子賞ほか多数受賞。

また日本科学技術ジャーナリスト会議副会長、日本宇宙少年団理事としても活躍中。

講演内容と講演者プロフィール

序章 北極温暖化を取り巻く状況

北極域の急速な温暖化はどうなっているのか、その影響の解明に取り組む日本の研究者たちについてご紹介しながら、講演の聴きどころに触れていきます。

榎本 浩之(国立極地研究所 気水圏研究グループ 教授/北極観測センター長)

衛星及び現場観測からみる雪氷圏の気候変動を専門とし、これまで南極・北極、ヨーロッパやアラスカ、南米の氷河や海氷域を訪れてきました。2011年からは、日本の北極研究プロジェクトの立ち上げに関わり、現在はその推進に努めています。2013年10月から日本の北極研究者の集まりである北極環境研究コンソーシアム (JCAR)* の委員長。
*JCARはこれからの日本の北極研究の可能性を探り、国際交流を盛んにし、人材の強化を図っていく組織です。

 冷たい海の変化と生態系

北極海の海氷の減少は海洋環境にも変化をもたらします。
北の海に棲むクジラなどの海棲哺乳類や海の底に暮らす生き物たちと環境についてお伝えします。

三谷 曜子(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 准教授)

クジラの研究がしたくてこの世界に飛び込みましたが、これまで北西太平洋や南極海でクジラやアザラシ、オットセイなど大型海棲哺乳類を中心とした海洋生物の環境や生態についての研究を推進、データロガーと呼ばれる動物装着型記録計を用いたバイオロギングの手法により海洋生物の潜水行動のモニタリングなどに取り組んでいます。

 グリーンランドで氷河・氷床に起きていること

グリーンランドの氷河・氷床の変化は、地球の海水面の上昇に大きな影響を与えています。北半球最大の氷に起きている急激な変化について、現地観測からわかってきたことをご紹介します。

杉山 慎(北海道大学低温科学研究所 講師)

趣味の登山を通じて雪や氷の研究への思いが脹らむようになり、スイスやパタゴニア等の山岳氷河で研究を始めました。地球規模の環境変動に影響を与える南極氷床やグリーンランド氷床は圧倒的に規模が大きく研究の中心となっています。グリーンランド観測は2012年夏に続いて2013年夏が2回目ですが、氷河・氷床の変化について集中的にフィールド調査を行っています。

 温室効果気体の振る舞い

温室効果気体の増加は気温上昇の大きな要因となってます。人間活動がもたらすもの、自然界の変化について南極での観測も含め、全球規模で実態を解説します。

森本 真司(東北大学 教授)

気候に変化を及ぼす温室効果気体について興味を持ち、これまで、地球上で最もきれいな南極域の大気と、陸域・人間活動の影響を大きく受ける北極域の大気について温室効果気体の観測的研究を行ってきました。これからは、もう少し暖かいところの大気も調べてみたいと思っています。

日本の気象と北極の温暖化との関係

日本の気象と北極の温暖化との関係が密接だということがわかってきました。遥か彼方のような北極で何が起きているのでしょうか。

浮田 甚郎(新潟大学 教授)

大気と海洋の相互作用が気候​変動に及ぼす影響を研究していますが、近年、北極海の夏の海氷減少が著しくなってきています。GRENE北極気候変動事業では、このような北極域における温暖化の変化とわれわれが住む日本への影響がどのような仕組みになっているのか、また北極域の温暖化と地球温暖化への影響の解明を目指し調査チームをまとめています。

会場のご案内

自由学園 明日館講堂 
http://www.jiyu.jp/
東京都豊島区西池袋2-31-3

お問い合わせ先

国立極地研究所 北極観測センター
担当 企画チーム
TEL:042-512-0922