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北極海氷分布予報

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2020年拡大期予報

2020.09.18 東京大学大気海洋研究所 木村詞明, 羽角博康

図1今年10月1日から11月30日までの海氷分布
図1:今年10月1日から11月30日までの海氷分布
  • 今後、北極海の海氷域は冬に向けて拡大していきます。ロシア沿岸側から大西洋側にかけての海域では、例年より遅いペースで張り出していく見込みです。
  • 多島海を除くカナダ側の沿岸では10月28日頃、ロシア側の北東航路では10月17日頃に海氷域が沿岸に達し、航路が閉じるでしょう。
10月1日の予測海氷分布
11月1日の予測海氷分布
11月30日の予測海氷分布
図2:10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布

北極海の海氷域は拡大の時期に入りました。東シベリア海、ラプテフ海から大西洋側の海域では現在例年より大きく海氷域が後退しており、今後の海氷の張り出しも例年より遅くなります。一方、海氷域が帯状に残っているカナダ・アラスカ沖では、例年より早く海氷域が沿岸に近づきます。海氷域が岸に達し航路が閉じるのは、多島海を除くカナダ側航路では10月28日頃、ロシア側航路では10月17日頃になる見込みです。


北極海の海氷面積は減少時と逆のパターンで増加していく傾向があり、早く海氷がなくなった海域(年)は、秋に海氷が張り出すのが遅くなります。そのため、ある場所での海氷のなくなる早さと秋の拡大時の海氷密接度との間には相関があります(2017年の秋予報をご参照ください)。早く海氷がなくなると海面がより長期間にわたって温められ、秋の結氷が遅くなることが要因のひとつと考えられます。

この関係をもとに、今回は2003年から2019年までの15年間(データの揃わない2011, 2012年を除く)のデータを用いて、5月1日から8月31日までの間の海氷が無かった(密接度が30%未満だった)日数と10月1日以降の日の海氷密接度との相関関係を用いて予測を行いました。