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北極海氷分布予報

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2022年拡大期予報

2022.09.30 北極海氷情報室、木村詞明(東京大学大気海洋研究所)

図1:今年の10月1日から11月30日の海氷分布予測値。
  1. チュクチ海の海氷は平年より遅いペース、そのほかの領域では平年より早いペースで張り出していく見込みです。
  2. ロシア沿岸側は10月10日頃、多島海を除くカナダ沿岸は10月16日頃に海氷域が沿岸に達し、航路が閉じるでしょう。
                   図2:10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布
図3:予測された海氷密接度の平年値(2003-2021年の平均値)からの偏差。
青が平年より密接度が大きい場所、赤が平年より密接度が小さい場所を示す。

北極海の海氷域は9月中旬に最小となり、その後、拡大をはじめました。 今後予測される海氷域の広がりについて図3を見ると、ロシア側ではラプテフ海と東シベリア海の間に位置する海域で、 アラスカ側ではチュクチ海で例年より大きく海氷が後退したため、 それらの領域では海氷域の広がりは平年に比べて遅くなることが見込まれます。 一方、ロシア側の東シベリア海、ラプテフ海、多島海を除くカナダ沿岸のボーフォート海では海氷が解け残ったため、 海氷域の広がりは平年より早くなるでしょう。海氷域が岸に達し航路が閉じるのは、ロシア側では10月10日頃、 多島海を除くカナダ沿岸では10月16日頃になる見込みです。


北極海の海氷面積は減少時と逆のパターンで増加していく傾向があり、早く海氷がなくなった海域(年)は、秋に海氷が張り出すのが遅くなります。 そのため、ある場所での海氷のなくなる早さと秋の拡大時の張り出す早さには相関があります(2017年の秋予報をご参照ください)。 早く海氷がなくなると海面がより長期間にわたって温められ、秋の結氷が遅くなることが要因のひとつと考えられます。

今回の予測は2003年から2021年までの17年間(データの揃わない2011, 2012年を除く)のデータを用いて、5月1日から8月31日までの海氷密接度が15%以下だった日数と10月1日以降の日の海氷密接度との相関関係を用いて行いました。


この予測には人工衛星搭載の国産マイクロ波放射計AMSR-EおよびAMSR2による観測データを用いました。

毎日の予測図 は国立極地研究所の北極域データアーカイブシステムでも見ることができます。