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北極海氷分布予報

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2024年拡大期予報

2024.09.27 北極海氷情報室、木村詞明(東京大学大気海洋研究所)

2024年10月1日から11月30日の海氷分布予測値。
図1:今年の10月1日から11月30日の海氷分布予測値。
  1. ロシア側で平年より早いペース、カナダ側で平年より遅いペースで海氷域が拡大する見込みです。
  2. 多島海を除くカナダ沿岸は11月3日頃に海氷域が沿岸に達し、航路が閉じるでしょう。
10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布。
図2:10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布。
予測された海氷密接度の平年値(2003-2023年の平均値)からの偏差。
図3:予測された海氷密接度の平年値(2003-2023年の平均値)からの偏差。青が平年より密接度が大きい場所、赤が平年より密接度が小さい場所を示す。

北極海の海氷域は9月中旬に最小となり、その後、拡大をはじめました。 今後については、図3に示す通り、夏に例年よりも大きく海氷が後退したボーフォート海にかけての海域では海氷域の拡大が平年に比べて遅くなることが見込まれます。 また、カラ海、ラプテフ海、東シベリア海、チュクチ海については平年より早く海氷域が広がることが見込まれます。 海氷域が岸に達し航路が閉じるのは、多島海を除くカナダ沿岸で11月3日頃になる見込みです。 ロシア側はウランゲリ島周辺で海氷が残ったため今年は開通しませんでした。


今回の予測は第三報と同様の手法により、2003年から2023年までの21年間のデータを用いて、 9月13日から9月22日までの海氷密接度と10月1日以降の日の海氷密接度との相関関係を用いて行いました。 詳しい手法に関しては2024年第三報補足をご参照ください。
今年の夏場はウランゲリ島周辺で海氷が残りましたが、これは2003年から2023年の間にはなかった現象です。 そのため、過去のデータをもとに予測する本手法ではウランゲリ島周辺に残った海氷が予測できていないことに注意してください。


この予測には人工衛星搭載の国産マイクロ波放射計AMSR-EおよびAMSR2による観測データを用いました。

毎日の 予測図 及び 海氷齢(日齢、年齢)は国立極地研究所の北極域データアーカイブシステムでも見ることができます。