2024年夏の北極海の海氷の解けやすさ(2024年5月31日)
ボーフォート海周辺の多年氷は5月中旬とほぼ同じ分布を保っています。夏季の海氷分布の変動予測に関しては2024年第一報をご参照ください。
北極海の夏の海氷分布は春の時点での海氷の量と春以降の海氷への熱の流入量および海流、海上風による海氷の移動により決まります。
海氷は一般的に古い氷ほど海氷が厚くなるため、春の時点での海氷の量は海氷年齢と関係があると考えられます。
北極海氷情報室では1グリッドあたり10㎞×10㎞の解像度で北極海全域の海氷年齢分布を推定しています。
1グリッド10㎞×10㎞であるためグリッド内にはさまざまな年齢の海氷が存在することができます。
グリッド内の海氷の年齢の最大値を図示したもの(最大海氷年齢分布)が図1、グリッド内の平均年齢を図示したもの(平均海氷年齢分布)が図2になります。
どちらも2024年5月31日の推定値です。
北極海氷情報室のこれまでの経験から海氷の解けやすさは平均海氷年齢分布から定性的に見る積もることができると考えています。
図2の赤線が日齢200日、青線が400日、黒色の線が600日の位置を表しており、400日以上の場所がおおよそ解け残りやすいと推察しています。
また、図1を見ると平均年齢が低く解けやすい場所でも最大年齢が高い(3年氷以上)場所があります。
そのような場所では古く厚い氷が少量ながらもまばらに残る可能性があると考えられます。