南極大陸で最も古い基盤をなす「ナピア岩体」と呼ばれる地質体の形成プロセス、特に大陸形成の際に地殻深部でおきている物理・化学現象の解明を目指して研究をおこなった。具体的には、南極での現地地質調査と持ち帰った岩石試料の解析によって、地殻20-30kmの深部で1000°Cを超える高温に達する「変成作用」と「地殻の融解」プロセスの検証、またU-Pb年代測定によってそうした事象に「時間軸」を入れ、モデル計算などとも併せて地殻の形成発達過程を様々な角度から検討した。
博士課程1年次と2年次に日本南極観測隊に同行して、南極の夏季期間(12~2月)に現地での野外地質調査をおこなった。
南極を含めたアフリカ・南アジアの広い地域を対象として、野外地質調査や採取した岩石試料のX線分析や質量分析などによる解析をおこなっている。現在手がけているテーマとしては、相平衡岩石学を用いた大陸深部での高温変成作用と地殻の溶融作用の研究、U-Pb放射年代測定を用いた地球史の初期の地殻形成機構や10億年前の超大陸ロディニア仮説の検証と5億年前の超大陸ゴンドワナ形成過程の研究、地殻内部での希土類元素をはじめとする微量元素の挙動に関する研究などをおこなっている。
「極域」というキーワードのもとに、フィールド・サイエンスと室内実験とを併せた研究の醍醐味がここにあります。「南極」がみなさんを待っています。