鈴木 香寿恵
(平成19年3月修了)
国立極地研究所・気水圏研究グループ・特任研究員

極域科学専攻在籍時の研究活動

大学4年次において、卒業研究のテーマとして「南極域における大気放射収支」を選び、南極大陸周辺の様々な自然に憧れたことが、最終的に博士課程への進学に繋がったと思います。在籍時には修士課程から引き続き、大気中の仮想粒子が、南極大陸沿岸部・内陸部へどこからどのように到達するのか、その輸送経路の季節変動や地域性の違いを調べる研究を行いました。さらに現地気象観測データを用いた水蒸気輸送経路の推定を行い、水蒸気輸送のメカニズムの解明を目指しました。

現在の研究活動

引き続き南極域への対流圏大気の輸送に関する研究を行っています。JARE48による昭和基地周辺の無人飛行機観測による大気中微量物質の粒子や濃度の測定結果から、南極沿岸域から内陸部にかけての対流圏大気の動態を把握するとともに、昭和基地およびドームふじ基地で連続観測されている大気中微量物質の濃度変化から、微量物質の輸送パターンやその起源の推定を行う予定です。また、水蒸気輸送のメカニズムに関しては、ドームふじ基地で観測された降雪中の安定同位体比や気象観測データを用い、降雪時における大気循環場の気候値の推定や氷床コア中に含まれる大気の水蒸気起源の推定を行う予定です。

極域科学専攻を目指す学生へ一言

極域科学とは、地球科学を丸ごと勉強できる、研究の可能性の間口が広い分野であると思います。専門分野以外の研究者と肩を隣り合わせることが多く、講義も多岐にわたった内容になっているため、自分次第で多くの知識を身に付けることが可能です。現在、地球温暖化が加速する状況の中で、地球環境変動の記録が集約された南極大陸、北極域は世界中の人が注目する熱いトピックスでもあります。今後の地球について考えてみたい、と思った人は極域科学専攻へ是非足を踏み入れてみてください。