エアロゾル粒子とは大気中に含まれる微粒子のことで、海塩、火山灰などの自然起源のものと、硫酸、硝酸などの人為起源のものがあります。微粒子といえどもその数は膨大で、気候に少なくない影響を与えています。なかでも、冬の南極では、硫酸や硝酸が核となって、普段は雲のできない成層圏(高度10km〜50km)にも雲ができます。この雲を極成層圏雲と呼び、南極で春先にオゾンホールが発生する原因になっています。
昭和基地でも、極夜に入った6月から極成層圏雲が現れるようになりました。極成層圏雲はとても高いところに現れるため、地表から見て太陽が出ていなくても、極成層圏雲には太陽の光があたり、薄赤色に輝いて見えます7月18日は空一面に極成層圏が広がりました。絶好の観測機会を逃してなるものかと、朝早くから準備してエアロゾルゾンデ飛揚を行いました。
エアロゾルゾンデは、ポンプで空気をとりこみ、その空気にレーザー光を当てて、どれくらいの大きさの微粒子がどれくらい含まれているかを観測することができます。観測の結果、成層圏は対流圏より微粒子が多く、特に直径の大きな微粒子の割合が高いことがわかりました。大きな微粒子は氷または水の粒であると考えられ、極成層圏雲が発生していることを直接確かめることができました。
|