極夜が明けてから日を追うごとに昼が長くなり、昭和基地を出ての活動(野外活動)が本格化してきました。普段は東オングル島にある昭和基地周辺で生活している私たちにとって、野外に出て見る光景は新鮮で珍しいものです。今回はその中の幾つかを紹介します。
昭和基地の南約30kmにラングホブデと呼ばれる南極大陸沿岸の露岩地域があります。南極大陸というと真っ白な雪と氷の平らな大地が想像されますが、そこには想像に反して500m近い岩山がそびえ立ち、その後ろには氷河が広がっています。その氷河の一部は岩山の間の低い部分から溢れ出て海に流れ込んでいます。写真に写っている人と比べるといかに大きいかが分かります。東オングル島には40m程度の丘しか無いため、このような景色は新鮮で壮観に感じられます。また、そこには凍った沢があり、中をのぞくと底から昇りそのまま氷の中に閉じ込められた気泡がたくさんあり、その気泡は中に霜がついて白くなっています。このような珍しい現象も見られます。
海氷上で雪上車を運転するときは、海氷のクラック(割れ目)に注意して走行します。クラックを発見した時は、幅や深さを確認してから渡るかどうかを判断します。先日も走行中にそれらしき大きな形跡が見つかったので金属の棒で探ったところ全く割れていませんでした。私たちがクラックだと思ったのはアザラシの這った跡だったのです。安心したのと同時に動物たちの活動も始まり春の訪れを感じさせる瞬間でした。
野外活動は大変ですが、その反面、普段は見られない光景にも出会うことができます。
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