皆さんは、オゾン層破壊やオゾンホールという言葉を一度は耳にしたことがあると思います。上空にはオゾンの比較的多い層(オゾン層)があり、オゾン層は太陽からの有害な紫外線を吸収し私たちを保護しています。しかし、オゾンを破壊する人工的な化学物質の放出により世界的なオゾン層破壊が生じました。南極では上空のオゾンが極端に少なくなり、オゾン層に穴が開いたかのように状態になります。これがオゾンホールです。この現象は8〜9月に発生し、11〜12月には消滅することが分かっています。この8〜9月にオゾンが極端に減少することを発見し、世界で初めて報告したのは第23次日本南極地域観測隊の隊員です。このような大きな成果は、長年にわたるオゾン観測の結果です。
現在、昭和基地ではオゾンの観測を気象、気水圏、宙空の3つの部門でおこなっています。気象部門では、ドブソンオゾン分光光度計により地上に到達する紫外線の強度比から測定する方法と、気球にオゾンゾンデという観測機器を吊るして飛揚し直接観測する方法でオゾンを観測しています。気水圏部門では、FTIRという機器を使い太陽光の赤外領域の光を分光させて観測することにより、地上から上空のオゾンの高度分布を観測しています。宙空部門では、オゾンなどの微量分子が放出する波長数ミリの電波(ミリ波)をミリ波分光観測装置で昼夜を問わず観測し、高度20〜70Kmの広範囲にわたるオゾンの高度分布を求めています。晴天日にオゾンゾンデを飛揚する時には、これら4台が同時に観測することもあります。昭和基地において、オゾン観測は重要性な観測の一つです。
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