写真のUFOみたいな物が「ブイ」で、本来は海に浮かべて海洋観測などに使用されています。南極では、地圏部門の隊員がこの中にGPS衛星のアンテナと受信機、バッテリーを組み込み、海氷上に設置し、海氷の動きを観測しています。地圏部門と言えば地震や地殻変動などの地面の動きを観測しているというイメージがあると思われますが、海氷の動きも観測しています。現在は昭和基地のある東オングル島の西の海氷上に設置され、地圏部門の隊員が週に1回割合で定期的にメンテナンスやデータの回収をおこなっています。また、設置地点のすぐ近くには、潮位を観測する験潮所があり、このデータと海氷GPSブイのデータを解析して、潮位変動と海氷の動きの研究もおこなっています。南極では、陸と海の間で潮の干満でできる海氷の亀裂をタイドクラックとよびます。これは主に海岸線と並行にでき、非常に深いものもあるため、陸から海氷上に出る時には気をつけなければなりません。そのためこのような観測が重要となります。南極にとって海氷は雪上車が通る道=地面なので、海氷の動きも地圏部門の重要な観測項目の一つです。この海氷GPSブイは昭和基地から少し離れた豆島の近くにも1台設置しました。
|