昭和基地では大気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)の数の変化を測定していますが、年に数回ほどエアロゾル数濃度が急増する現象(南極ヘイズ)が起きることが最近分かってきました。この時の上空の状態を観測するため、エアロゾルを測定する機器をつけたゾンデをヘイズ出現に合わせて放球するのが気水圏担当:池田隊員の重要任務の一つです。
今か今かと毎日データをチェックして、ついに今年2回目のヘイズが9月6日に発生、早速ゾンデ放球準備に入ります。エアロゾルゾンデは普段気象隊員が上げているゾンデより重く大きな気球を使うので、放球基準は風速3m/s以下。しかしこの日は徐々に風が強まる予報で、放球を担当した気象の藤田隊員は難しい判断を迫られました。
放球直前は風が強まり、気球が大きくあおられたため、緊張が走る一幕もありましたが、ゾンデの取扱いに慣れた気象隊員3名が息を合わせて放球しました。機器の調整に直前までバタバタしていた池田隊員は、夕暮れの空に吸い込まれていくゾンデに「がんばれー!」と声を張り上げました。
数時間後、無事観測が終了して皆一安心。そのあとバーでおいしいお酒をいただきました。
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