
「みらい」は11/10に八戸港に入港し、北極航海を無事終えました。随時発信してきた航海情報もこれで終了します。今後は研究成果を皆様にお伝えできればと思います。これからも北極研究と北極域研究推進プロジェクト(ArCS)の応援お願いいたします。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有する海洋地球研究船「みらい」は、ArCSの活動の一部として、2019年度も北極航海を行います。
本年度は、アルフレッドウェゲナー研究所(AWI、ドイツ)主導で行われる北極域の国際共同観測プロジェクトMOSAiC(The Multidisciplinary drifting Observatory for the Study of Arctic Climate)と同期し、海氷減少に伴い北極海や周辺海域の大気・海洋環境・海洋生態系がどのように変化しているかを明らかにするために、海氷の張り出す時期が従来より遅くなりつつある10月に観測を実施します。
「みらい」は11/10に八戸港に入港し、北極航海を無事終えました。随時発信してきた航海情報もこれで終了します。今後は研究成果を皆様にお伝えできればと思います。これからも北極研究と北極域研究推進プロジェクト(ArCS)の応援お願いいたします。
「みらい」は45日間の北極航海を終え、無事に日本へ戻ってきました。今年も北極海でたくさんの大気・海洋観測を行うことができました。今年は10月の海氷面積が史上最小の年であり、最近の海氷形成遅延の謎に迫る研究成果が期待できます。
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ArCSで開発したボードゲーム「The Arctic」を乗船研究者・船員さんが体験! 先住民や学者などの立場から、北極の変化に応じた対策に投資。しかし海氷の減少とともに事態はより深刻に――思惑の異なる他者と協力しながら理想の北極を手に入れるのは誰か!?
ArCSで開発したボードゲーム「The Arctic」を乗船研究者・船員さんが体験! 先住民や学者などの立場から、北極の変化に応じた対策に投資。しかし海氷の減少とともに事態はより深刻に――思惑の異なる他者と協力しながら理想の北極を手に入れるのは誰か!?
海水中には目に見えない生き物も多くいます。写真は北極海で採集した珪藻類Chaetoceros atlanticusで、1細胞およそ30µm。細胞内の葉緑体で光合成を行います。ガラス質の細胞壁を持っているので、顕微鏡の暗視野で見るとキラキラとしてとても綺麗です。
ラジオゾンデ観測の最終日。取得したデータは各国の天気予報に使われています。ArCSプロジェクトではこれまで、台風予測における北極のラジオゾンデ観測の有効性について示してきましたが、今回の「みらい」やMOSAiCのデータの役割についても早急に検証します。
北極での降水や降雪のサンプルを手に入れるため、前日からの降水や降雪の確認作業で1日が始まります。降水が少ない北極ですが、今回の航海では15個のサンプルを得ることができました。日本に帰って分析するのが楽しみです。
「みらい」の上甲板で防寒着を着て座っている人がいます。さて、この人は一体何をしているのでしょうか。実は、表面の海水の酸素濃度を分析するための前処理をするところだそうです。極寒地ではこのようなスタイルで化学分析をしなければならないようです。
船では5m深ほどの海面水温を観測します。しかし、大気で直接冷やされるごく表層の温度はもっと低いはずで、それを放射温度計で観測します。ドローンにも同じ波長帯の赤外線カメラがついており、その性能を比較しました。
日射がほぼなくなるこの時期、海面はどんどん冷え、結氷が加速します。しかし、雲があると雲からの放射(温室効果)で海面は暖められ、結氷が遅れます。理屈ではわかっていても、その雲を掴むのは意外と難しいもの。雲粒子ゾンデによりこの時期の雲の特性を明らかにします。
氷縁域の北緯78度西経165度でプランクトンネット観測を行ったところ、北太平洋に分布する種が採集されました!写真の左が北極海産種Calanus hyperboreus、右が太平洋産種Neocalanus cristatusです。北極海の温暖化を象徴しているようです。
配膳室のオーブンで、抹茶パンケーキを作りました!船内では、パンやお菓子作りが趣味の人が数名。今日はかなり美味しくできたので、部屋のみんなで食べてしまいました。甘い匂いが、船内に漂って…(コンコン)…おっと部屋に誰か来たようだ…
この航海では雲の粒子数や粒径、相状態(水雲か氷雲か)を測定できる雲粒子(CPS)ゾンデ観測を実施。写真の測器を気球で上空に飛ばします。CPSゾンデ観測により、北極の気候を支配する要素のひとつである北極の雲の全貌を明らかにすることが期待できます。
北緯78度5分に来ました。「みらい」観測史上、10月としてはもっとも高緯度に来たことになります。海氷縁でも気温は-1℃程度でこの時期としてはとても暖か。これから1週間にわたり、海氷縁を毎日観測するリピートセクションが始まります。
プランクトンネット観測を実施しました。写真のネットは、目合いの異なる4つの網がついており、採集したい生物や使用目的が違います。採集したプランクトンは、船上の実験室で生きたまま種類ごとに取り分け、飼育実験をします。さて、何が採れるかな?
結氷が遅れている北極海の水温はどうなっているでしょう?船による海洋観測はその場限りですが、水温センサー付のブイなら経時変化も無人観測できます。海や海氷に流されながら水深2~60mまでの水温を計測、リアルタイムでデータを取得します。担当は東京大学の孫さん。
北極海の海氷が少なくなると波が高くなりますが、海氷近くの海域では波の特性が複雑です。波浪ブイによって、海氷縁での波の特性を詳細に観測します。担当は東京大学の小平さん。アラスカ沖の漁船など、波の情報を必要とする人々にもリアルタイムでデータを公開予定です。
昼の12時半は「リンコ」の時間。RINKOプロファイラーという測器で表層30mまでの水温や塩分の観測を毎日実施し、海氷予報モデルの検証・改良のための海洋データセットを構築します。この日は東京海洋大学の真矢さんが観測担当、山本さんが補助をしました。
12リットルの容器を用いて、深いところでは3000mの海水を採っています。船上に引き上げた後、コックから海水を取り出すのですが、気温が低いためか(1℃以下)、コックが硬く取り出すのも大変です。北極での海洋観測の苦労話のひとつです。
ドローンで海氷分布などを空撮する予定です。ただ、船上での操縦には様々な障害が。動く船体、ジャイロコンパスへの影響、GPSの受信感度、各種レーダーからの電波干渉、強い海上風、防寒着着用状態での操縦。安定な飛行を実現するためには訓練が欠かせません。
CTD観測が始まりました。本航海では夜から朝にかけて実施しますが、水深が浅い場合は測器が船と海底を行き来する時間が短いので、ひと晩に4回ほど実施することもあります。海底近くまで沈めたあと、決めた深さまで巻き上げ、ボトルを閉じて海水を船上まで運びます。
毎日船内時刻の16時に大会議室に集まって、その夜と次の日の観測スケジュールの調整を行います。気象・波浪・海氷予報は、実施する観測を決めるのに重要な役割を果たします。今年は北見工業大学の佐藤和敏さんが首席研究者として、毎日このミーティングを主催しています!
みらい北極航海でおなじみのラジオゾンデ観測ですが、今年は係留気球観測やドローン観測のサポートの役目も果たしています。これらの観測は上空の風速が強すぎると実施できないので、事前にラジオゾンデ観測を行って風の鉛直分布を把握し、実施の可否を判断します。
北極海に向かう間は曇天や荒天が多く、時折晴れ間があると嬉しくなります。いよいよ明日は北極圏に入ります。急速に海氷が失われていく北極の不思議を、海洋に蓄えられた熱や、海表面の波浪に着目して解き明かしていきます。
係留気球観測は風が強い状況ではできないため、海上で実施するチャンスはとても限られます。天気予報で場所と日時を検討します。実施直前には、ラジオゾンデのデータを見ながら観測高度を最終判断。今日のベーリング海は穏やかな1日で、係留気球観測日和でした。
航海が始まり1週間が経過しました。じきにベーリング海峡へ到着し本格的な観測が始まります。そこで、航海中の英気を養う船内の食事を紹介します。写真は本日のお昼ご飯です。コックの皆様いつも美味しいご飯をありがとうございます!
係留気球による観測を行いました。係留気球は、お菓子「お○と○と」のような形をした赤い気球で、その下に観測装置をつけることで、上空まで観測を行うことができます。今回は北極海に入る前のテストでしたが、大成功となりました!
係留気球でエアロゾル粒子の鉛直分布や大きさなどを観測します。高度によって輸送経路・起源が異なるため、エアロゾル輸送モデルの検証のための貴重なデータとなります。この観測はMOSAiCでも実施予定で、北極海上の物質循環や雲物理過程の総合的理解に役立ちます。
飛沫観測担当です。船体着氷の原因の一つ、海水飛沫を計測しています。写真は船舶用雨量計を改良した飛沫計です。今日は海が穏やかで過ごしやすく良いのですが、観測のため、飛沫の舞う荒れた海になることを密かに願っています。(10/2)
八戸港を出港して3日目になります。船内生活に少しずつですが慣れてきて、いよいよ観測が始まると思うとドキドキします。昨日、ラジオゾンデのテストキャストに成功し、今日からベーリング海峡まで1日2回の放球を行います。北極海を目指して頑張ります。(10/1)
バルーンに気象観測機器をとりつけ、大気の鉛直構造を観測するラジオゾンデ観測が本日から始まりました。観測参加メンバーたちは観測機器の準備方法などのレクチャーを受けました。北太平洋では1日2回、北極海では1日4回以上の観測が実施される予定です。
昨年に続き、首席部屋ではカッコいいフラッグを飾っています。今年は、ArCSの「みらい」北極航海と、「みらい」と同時期に北極海で観測を実施するMOSAiCのシンボル入り。右の黒Tシャツは「みらい」北極航海の記念Tシャツです。
9/17に北極海の海氷面積が最小値を記録したもようですが、下旬以降は急激に増えます。この時期にあえて北極をめざす研究船が2隻。MOSAiCの中心的役割であるドイツ砕氷船と、「みらい」です。共通の観測項目が多く、今後の共同研究が期待されます。
この2日間で北極航海で必要な機材の積み込みが行われました。重たい機材などはクレーン車を使用して積み込みを行います。無事に全ての機材の積み込みが完了し、いよいよ出発準備が整いました。「みらい」は本日出航です。
今年もやります! 9/27~11/10の間、極地研が代表機関であるArCSプロジェクトの活動の一部として、JAMSTECの海洋地球研究船「みらい」の北極航海が実施されます。航海の様子を随時ご紹介します。
赤い点線の矢印は船の進行方向を表します。黒点、青点、黄色三角は各種の観測を行う予定の地点です。(気象・海氷等の状況により変更される可能性があります)
ドイツ砕氷船を2019年の10月から1年間、北極海の中央域で海氷に閉じ込めて通年観測を実施し、これまで不足していた大気・海氷・海洋・生態系などの総合的なデータを大量に取得することで、数値モデルの検証・開発に役立てることを目的とするものです。