砕氷船ローリエ航海チーム

カナダ砕氷船ローリエ号から(2014.7.16)

チームメンバー:菊地 隆(海洋研究開発機構)

本観測では、我々はチャクチ海のホットスポットで時系列観測を行っている係留系の回収・設置作業を行うために、カナダ砕氷船ローリエ号に乗船します。合せて、アメリカ・カナダの研究者たちと共同で、ベーリング海・チャクチ海での観測を行います。この航海は、昨年までの「おしょろ丸」や「みらい」の航海と同様に、国際共同プロジェクトであるDistributed Biological Observatory(DBO)と密接に関係して実施されるものです。本課題からローリエ号7月航海への参加は、3年目になります。

7月9日 ダッチハーバー入り

7月8日に日本を発ちました。この日はシアトル経由でアンカレジまで移動し、ここで一泊。そして 7月9日に予定通り無事にダッチハーバーに入りました。荷物も無事について、まずはホッと一息。

ダッチハーバーの天候は...曇り。気温は+10~13℃くらい。台風が近づいてきていた日本に比べると、さすがに涼しいです。

ここは北極海航海の出発地点。昨年の「おしょろ丸」もここから北極海に出発しました。私自身も 2年連続のダッチハーバーです。同じくローリエ号に乗船する研究者とも合流しました。

7月11日 ダッチハーバー出航

朝8時にホテルを出て、Dockへ。既にローリエ号は入港しており、そのまま乗船。部屋に入って、荷物を片付けて、送った機材を確認しました。船内時間は、カナダ太平洋時間(夏時間)とのことで、UTC-8hです。日本からは17時間遅れとなります。

船内時間で、19:00に出航。20:00に安全講習と船内ツアーがありました。昨年と同じ。

7月12日 プリビロフ島近くを北上中

ダッチハーバーを出航して、プリビロフ島(本課題の研究者が観測を実施している島)の近くを通過中。昨年は全くつまらないくらいに揺れない航海でしたが、今年は出航直後は高気圧の縁で風が強く、デッキが波をかぶる程度に揺れていました。ということで夕方までデッキには出られず、午後は避難訓練と研究者ミーティング。その後は波も収まり、係留系作業の準備を粛々と始めました。

7月14日 観測開始

セントローレンス島南西部に到着。北緯62度、西経175度あたり。気温は +10℃以下になってきました。天候は、....曇り。霧が出ることも多く、視界が悪いです。海鳥や海生哺乳類の目視観測をする研究者が残念そうにしています。

ここから海洋観測が始まります。各観測点では基本的には、1)CTD/採水観測、2)カメラでの海底状況の撮影、3)プランクトンネットでの試料採集、4)海底堆積物・試料採集が行われます。最初の観測点では、船側も新しい人がいることから、どのように観測作業を行うかを確認しながら、慎重に作業が進められました。

このあとバロー沖まで、順調ならば合計54点での観測が予定されています。

7月16日 ダイオミード島が見えないベーリング海峡...

観測開始以降、セントローレンス島の南西部から西側を北上して、ベーリング海峡の南側の観測を行い、本日夕方にベーリング海峡に来ました。観測に支障が出るような悪天候はないものの、ここまでずーっと...基本的には曇天もしくは薄霧/霧雨の中。ところによっては若干風もあって、相変わらず視界は悪く、すっきり晴れた日は1日もなし。まぁ典型的な初夏のベーリング/北極海の海況とも言えます。

とは言え、セントローレンス島も見ることができず、そしてなんとベーリング海峡に来たのに、近くにあるはずのダイオミード島が全く見えない...。本当にここはベーリング海峡なんでしょうかねぇ。昨年はあんなにきれいに周りの景色が見えていたのに。残念。

気温も少しずつ下がってきて、+5℃程度。霧の所為もあって、少し肌寒い日々が続いています。このあと、いよいよ北極海(チャクチ海)に入ります。バロー沖には海氷もある様子。天候・海氷状況が良くなることを期待したいのです......。