第7回 中高生南極北極科学コンテスト
-中学生・高校生の提案を南極・北極へ-
「南極科学賞」他の受賞を決定

掲載日:2010年10月13日

 国立極地研究所(所長:藤井理行、所在地:立川市緑町)は、第7回中高生南極北極科学コンテストの応募提案の審査を行ない、「南極科学賞」、「北極科学賞」等を決定しました。
 「南極科学賞」 は、平成22年11月に日本を出発する第52次南極地域観測隊が南極で、また「北極科学賞」は北極での観測グループが、提案にある実験等を実施します。
 受賞した提案の授賞式と口頭発表会を、平成22年11月14日(日)に「南極北極ジュニアフォーラム2010」として、国立極地研究所にて開催します。

 第7回中高生南極北極科学コンテストは、平成22年6月10日~9月8日の間、提案を公募し、115件・25校(中学校17校、高等学校8校)の応募がありました。

受賞した提案(「南極科学賞」、「北極科学賞」、「特別賞」)

 

【南極科学賞】2件

表題:「極地方の海に生息するプランクトンの光に対する反応」

提案者:児玉 華代
所属:山口県防府市立右田中学校

提案の概要と選定理由

 海中でライトを光らせ、光に集まるプランクトンについて調査するというもの。自らできる事前調査をし、仮説を設定していて、成果に期待が持てる。シンプルな方法で行うことができ、南極での海洋の生物を知るうえで興味深い実験である。

表題:「極地の太陽・満月のゆがみを観察する」〜大気の屈折に着目して〜

提案者:前橋四中科学部(代表:中村有沙 他7名)
所属:群馬県前橋市立第四中学校

提案の概要と選定理由

 地平線付近の太陽・満月を記録し、ゆがみの割合と気温や高度との関係を調べようとするもの。観測の目的・方法も明快である。大気による光の屈折の仕方が大きく変化する南極で行うのにおもしろい課題である。気温の鉛直分布に応じてどう変化するかなど南極の自然や環境の理解が深まる実験である。

【北極科学賞】1件

表題:「白夜のひまわりはどこを向くか?」

提案者:チーム・フローラ・フォトニクス(代表:日沢亜美 他2名)
所属:青森県立名久井農業高等学校

提案の概要と選定理由

 太陽を追うヒマワリの苗の蕾が、太陽が沈まない白夜ではどこを向くのかを調べようとするもの。太陽を追いかけて1日で360度蕾を回転させるのだろうかという発想がユニークで面白い。実験にあたっては、苗の持ち込み方法や観察場所等に課題があるが、この実験を実施することにより、北極域の植物がどのような営みをしているかなど北極の自然や環境に理解が深まることが期待される。

「南極科学賞」は、平成22年11月に日本を出発する第52次南極観測隊が南極で、また、「北極科学賞」は、北極での観測グループが北極で提案にある実験等を実施します。

【特別賞】8件(表題、提案者、所属の順)

・ 「極地の植物はどのようにして紫外線から身を守っているか?」チーム・フローラ・フォトニクス(代表:若本佳南、他6名)、青森県立名久井農業高等学校
・ 「極地でスターリングエンジンが使えないか」西ノ京中コンピュータ部(代表:清水達也、他6名)、京都市立西ノ京中学校
・ 「南極で植物の品種改良・種子の保存はできるか?」チーム・フローラ・フォトニクス(代表:中山歩美、他6名)、青森県立名久井農業高等学校
・ 「ヤマトシジミ飼育による南極昭和基地の汚水処理に伴う汚泥削減」中島大河、島根大学附属中学校
・ 「南極の越冬生活にアロマセラピーは役立つか」山田のど夏、大阪教育大学附属池田中学校
・ 「南極でのレスキュー・探査ロボットの開発」奈良高校ロボット研究会(代表:坂田諒一、他5名)、奈良県立奈良高等学校
・ 「平和のヒント」森部柚香、滝高等学校(愛知県)
・ 「南極大陸の氷床の分析から過去に起きた地殻変動を考える」木村尚敬、岡山大学教育学部附属中学校

参考

「中高生南極北極科学コンテスト」は、中学生及び高校生から広くアイデアを公募し、審査の上、南極科学賞、北極科学賞を受賞した提案を南極観測隊及び北極での観測をする研究者グループに託し、昭和基地やニーオルソン基地等で実際に行った結果を提案校(者)にフィードバックするという、研究最前線(国立極地研究所)、南極・北極の現場(観測隊)、そして生徒と教員(教育現場)が連携した、おそらく他の研究機関ではほとんど例を見ないユニークなものであるといえる。

 当初は、「国際極年2007-2008」に際し、2004年に「第1回中高生南極北極オープンフォーラム」として開催したもので、2008年までに5回にわたり開催している。「国際極年2007-2008」の終了を機に、それまでの経過、実績等についてレビューし、「中高生南極北極科学コンテスト」として継続し、授賞式と発表会として「南極北極ジュニアフォーラム2010」を実施することとした。