第53次南極観測隊物資輸送に目途がつき越冬交代へ

掲載日:2012年2月16日

第53次南極地域観測隊(隊長:山岸久雄、越冬隊長:石沢賢二)は、観測船「しらせ」の昭和基地沖接岸断念により、越冬観測用の物資を昭和基地から約21km離れた地点から、空輸、氷上輸送をもって搬入しました。

接岸不能となった場合を想定した輸送予定量(549トン)を大幅に上回る817.5トンを輸送できたことで、越冬観測の目途がつき第52次南極地域観測隊越冬隊(越冬隊長:宮本仁美)から越冬観測を引き継ぎました。

今後「しらせ」は、第52次越冬隊、第53次夏隊を収容し氷海航行で反転北上し、帰路の海洋観測を実施しつつ豪州・フリーマントルに向かいます。

日本時間1月21日(土)18時(現地時間、同12時)、観測船「しらせ」が昭和基地沖への接岸断念となったことにより、第53次南極地域観測隊の越冬観測用物資の輸送は、昭和基地から約21km離れた地点から空輸と氷上輸送により実施することとなりました。

空輸で運べない大型物資、コンテナなどは橇に積み付け雪上車による氷上輸送以外の手段はなく、「しらせ」から昭和基地までの海氷上に安全なルートを設定し、走行は、気温が下がり氷状が安定する深夜に行うことになります。ルートは片道約30km、1日1往復が限度ですが、昭和基地にある雪上車をフル稼働させ、第52次越冬隊、第53次観測隊が協力しての24時間体制の作業となりました。

2月10日までの氷上輸送量は396.4トンとなり、並行して行われた空輸の421.1トンと合わせた総輸送量817.5トンをもって輸送作業を終了しました。

接岸不能となった場合を想定した輸送予定量(549トン)を大幅に上回る817.5トンを輸送できたことで、越冬観測の目途がつき第52次越冬隊から越冬観測を引き継ぎ、例年2月1日に行われる越冬交代式を2月12日(日)に行いました。

「しらせ」は2月13日(月)14時(日本時間)に氷海航行を開始しました。第52次越冬隊、第53次夏隊、同行者を収容し、帰路の海洋観測等を実施しつつ豪州・フリーマントルに向かいます。

搬入予定物資量と今回の搬入量に関して

(先般、新聞等により速報した数値の輸送総量736.5トン等は暫定値です。)

○総物資量:1,274トン
○氷上輸送と空輸による搬入実績量:817.5トン(64.17%を搬入)
○搬入実績量の内訳
・観測部門物資+設営部門物資(燃料を除く):590トンのうち410.7トン(70%)
 車両(大型雪上車、ブルドーザーなど工事用車両等全部)、食糧(全部)、越冬生活用物資(全部)、基本観測物資(全部)、研究観測、(一部を除く)
・燃料:658トンのうち406.8トン(62%)
 車両用燃料等(全部)、発電機用燃料(55%)
○搬入できなかった主な設営部門物資
・風力発電機、新汚水処理設備の資材、自然エネルギー棟用資材の一部等
○観測への影響
・大型大気レーダー観測は、発電機燃料の節約による影響を検討中です。
・その他の観測については、ほぼ計画どおり実施できる見込みです。

「しらせ」舷側で橇に積み込み中

昭和基地に向けて出発用意

「しらせ」を出発する氷上輸送の雪上車

輸送作業を終了し、越冬交代
(第52次越冬隊員(白いヘルメット)と第53次観測隊員(赤いヘルメットの越冬隊と夏隊))