気水圏研究グループ 小端拓郎 特任研究員の論文が
ScienceのEDITORS'CHOICE に紹介されました

Kobashi et al., Geophysical Research Letters, Vol. 38, L21501, doi:10.1029/2011GL049444, 2011

掲載日:2012年2月24日

国立極地研究所 小端拓郎

グリーンランドでは近年記録的な高温が続き、それに伴い沿岸部では急速に氷床が融解しています。こうした温度変動とそのメカニズムを探るため、国立極地研究所を中心とした国際研究グループは、グリーンランド氷床コア中の気泡を分析したデータを用いて、過去4千年間の温度変動を復元することに成功しました。その結果から、過去4千年のグリーンランド氷床頂上付近の気温は、長期の寒冷化傾向と数十〜数百年スケールの上下変動で特徴づけられることが分かりました。最近十年間の平均気温は、過去4千年間に出現した温暖期と同等であり、過去千年のなかでは、2回しか起こらなかった特に気温の高い時期に匹敵することが判明しました。気候変動予測モデルによれば、人類が排出し続けている温室効果ガスによって温暖化がさらに進行することが指摘されており、今世紀の終わりのグリーンランドの気温は過去4千年の気温変動範囲をも超えてくると懸念されます。人類や社会に影響の大きい温暖化と、結果として起こる海水準変動を予測するために、今後さらに監視と分析を必要とします。

「SCIENCE VOL 334 2 DECEMBER 2011」